30日開幕の「第96回全国高校サッカー選手権大会」の応援マネジャー、高橋ひかるさん(16)。今年はNHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」で連続ドラマデビューを果たすなど、女優として確実にステップアップしている。応援マネジャーは高橋さんが13代目で、過去には新垣結衣さん、川口春奈さん、広瀬すずさん、永野芽郁さんらが務め、若手女優の登竜門とも言われる。高橋さんに、「改めて仕事について真剣に向き合っていこうと感じた1年」という2017年を振り返ってもらった。
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高橋さんは01年9月22日、滋賀県生まれ。14年に「第14回全日本国民的美少女コンテスト」で8万1031人の応募者の中からグランプリに選ばれ、現在はCMやグラビアでも活躍する。女優デビューは16年公開の映画「人生の約束」。「おんな城主 直虎」では、信濃からやってきた謎の少女・高瀬を演じ、話題を集めた。
上京に高校進学、大河ドラマ出演にオフィシャルカレンダーの発売、そして応援マネジャー就任と、充実の1年を過ごしてきた高橋さん。現場にもだいぶ慣れて、多少なりとも「余裕が出てきた」といい、同時に「女優の仕事の魅力も分かってきて演じることが楽しくなってきた」とも明かす。
演じることの楽しさとは? この質問に高橋さんは「自分ではないものになれることですね」と即答。「自分は小さい頃から成り切ることが好きで。ディズニー作品のプリンセスのまねをしたり、あとはおままごとも好きだったりしたので(笑い)、そういう感覚をやっと取り戻してきた」とうれしそうな表情を浮かべる。
逆に「難しさ」を聞くと「自分で『こうやろう』って思っても、実際に体現するのがやっぱり難しい。どうしたら自分がやろうとしていることが人に伝わるのか、いかに分かりやすく表現するか、やっていることはウソだとしても、それをどれだけ真実味を帯びたものにするのか。見ていただくからには、常に役として見てもらいたいし、普段と変わらぬ自分じゃなくて、役として作品の世界に入り込みたい、なじみたいなっていつも思いますし、今回の大河でもすごく感じた部分ですね」と振り返る。
やはり「おんな城主 直虎」への出演は高橋さんにとって大きな経験になったようだ。「撮影を終えた時にやっぱり楽しかったなって思えたのは大きな収穫です。監督さんや共演者の方々にたくさんアドバイスをいただけて、貴重な経験もさせてもらって、すごい勉強になったし、自分ももっといろいろな役に挑戦していきたいって思えるようにもなった」と明かす。
過去には「自分の足りない部分が見つかった」「できなくて悔しい思いもした」と発言していた高橋さんは、「大河ドラマの撮影期間中はしょっちゅう家で泣いていましたね」と告白する。「現場で泣くシーンもあったので、枯れきって悔し涙も出ないくらい(笑い)」と、今だから笑って明かせる話のようだが……。
「週末は大河の撮影はお休みなんですけど、日曜日の夜は『明日からどうしよう』ってすごい悩んで。台本とにらめっこして、一人で部屋にこもって、でも月曜にリハーサルが始まると、自分が思い描いたようにできなくて。『なんでこんなにもできないんだろう』って思ったりもした。自分が台本を読んで感じたことを表現するってことが本当に難しくて。頭で考えるのはこんなにも簡単なのに、やってみると……」と当時を思い返す高橋さん。
涙の理由を聞くと「悔しいのと、うまくできなくて『どうしよう』っていうのと、その両方」と苦笑い。それでも「その時はほかのことよりも、とにかく大河。でも今、改めて考えても、とてもいい経験だったなって。もっと厳しい現場もあると思いますし、しっかりと指導してもらったので。打ち上げのときも『学んだことを忘れないで生かしてほしい』って最後に言っていただいたので、来年はそれを発揮できるような年にしたい。泣いた分だけ強くなったと思うので」と前向きに捉える。
そんな高橋さんに「今後どんな女優になっていきたいのか?」を聞くと、「芝居を始めた時から、心から演じることができる女優になるって決めていて。これは『人生の約束』の石橋冠監督からもらった言葉なんですけど、一生この仕事を続けていく限り、この言葉を胸に秘めてやっていきたい。あとはいろいろな役にハマる女優さんになりたいので、変わった役、二面性のある役や純粋なだけじゃない役。殺陣やアクションも挑戦したいです」と目を輝かせる。
しっかりとした受け答えに思わず忘れてしまいそうだが、高橋さんはまだまだ笑顔にあどけさの残る16歳。現役の高校1年でもある。「まずは学園ドラマに出て自分と同世代の子たちと一緒に芝居をして刺激を受けたいですね。いつかはギャグ系の映画にも出たいですし、レッスンでコントとかやるんですけど、うまくできなくて……。自分は関西出身でお笑いも好きなんですけど、実際にやってみると間とかが難しい。でもいつか経験の一つとしてやってみたい」と演じることに対しては非常に貪欲だ。
最後には「『この人の芝居を見たい』って思ってもらえるような女優になりたいんです」と声を弾ませ、「このストーリー、この映画ではなく、この人の芝居だったらって。もちろん時間も努力ももっともっと必要なのは分かっているんですけど、常に目標は高く持ちたいんです」と真っすぐな瞳で語っていた。