草なぎ剛さんが、4日から京都劇場(京都市下京区)でスタートする舞台「家族のはなし PART I」に主演する。舞台は「第1話 わからない言葉」「第2話 笑って忘れて」の2編の短編喜劇で、草なぎさんにとって転機となった故つかこうへいさんの舞台「蒲田行進曲」(1999、2000年)以来、19年ぶりに小西真奈美さんと共演する。草なぎさんに、同舞台について、転機になったこと、エンターテインメントに携わる意味について聞いた。
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小西さんと19年ぶりに共演することについて、草なぎさんは「『蒲田行進曲』という舞台で一緒だったんですけど、その舞台は僕にとってとても大きな作品で。だから真奈美ちゃんに対して特別な思いもあります。今回、19年の時を経て変わったこともありますし、また新しい化学反応が起きるんじゃないかと、2人ならではの共鳴し合える部分というのはたくさんあるんじゃないかと思っています」と目を輝かせる。
19年間での変化は「自分ではよく分からないですね。顔を見ても真奈美ちゃんが全く年をとってないし。それぞれ流れている時間って短かったり、長かったり千差万別で」と年月は感じていない様子。「まあ少しでも成長したいなと思ってこの仕事をしている部分もあるんです。新しい作品になると、本当に今回できるのかなと毎回思ったりして、でもそれがなんか楽しくて。そういう面では、自分がどこが変わったかは分からないけれど、来てくれる人には、なんかまた一つ成長したねと思われたいし、新たな自分というものを表現したいですね」と前向きに語る。
今回は人間役と犬役を演じる。犬役については、2年前からメスのフレンチブルドックの「クルミちゃん」を飼っており、「役作りに役立ちますね。生後3カ月のときに迎え入れて、自分で育てているし、散歩も時間があるときにしているし。結構、うちの愛犬は何考えているんだろうな、と思っていたので、ちょうどいい役作りになっているんじゃないかな」と目を細める。
愛犬の表情を見ていると「犬は笑わないという人がいるけど、実際見ていると笑っている。でも、歯ぐきが乾いてくっついちゃっているのかなとか、すごくいろいろなことを考えて……」と不思議に感じることも多いといい、「本当のことは分からないですけれど、そのへんの(分からない)もどかしさがこの役に生きるんじゃないかな。犬の表情とか、感じるものを出せれば」と考えている。
10代のころから芸能界に身を置き、さまざまな作品に出演したきた草なぎさん。転機となった作品は小西さんと共演した19年前の「蒲田行進曲」だという。
「お芝居の幅を広げてくれました。つかさんのお芝居が好きな方の中では有名ですけど、“口当て”をしたんですよ。台本がなくて、その場で口移しにせりふを言っていくという経験があとにも先にも『蒲田行進曲』だけだったので。そのときに、役を通して、僕の中の感情をつか先生が引き出してくれました。あの有名な階段落ちをするヤスという役だったんですけれど、ヤスのせりふが僕の心の中の扉を開けてくれたなという感じでした」としみじみと振り返る。
演技をするやりがいを感じた。「どちらかというと演じるってつらいんですね。だからなんでやるんだろうな、演じるってなんなんだろうなって思ったりするんです。それが興味が尽きない秘訣(ひけつ)なのかな。なんなんだろうなと思っているうちが楽しいというか。つらいけど、やってみるといいなというところもあったり。本当につらかったらやらないだろうし。なんか魅力があるんだろうな」と語る。そして演技について「自分でもまだ分からないし、もしかしたら一生分からないかもしれない。ただ言えるのは、観客の方の心を動かしたい。そこが芝居のいいところなのかな、と。舞台だけでなく映像でも見ている人の心を動かしたい」と力を込めた。
それは芝居に限らず、草なぎさんが表現するエンターテインメントのすべてに通じる。「演技だけじゃなくて、歌もそうだし、バラエティーもそうだし、どこか共通するものがあると思います。どこか自分が楽しんじゃっているところもあるのかもしれない。それを、見てくれた方が何か元気が出たり、勇気づけられたりしたらすごくうれしい」と笑顔で語る。
*……舞台「家族のはなし PART I」は4日~6月1日に京都劇場で上演。開演時間は火曜・金曜が午後7時、水曜は午後2時・同7時、木曜午後2時、土曜午後1時・同6時、日曜午後1時、月曜休演(4日は午後6時のみ、5日は午後1時・同6時、6日は午後1時あり、7日は休演、24日は午後2時、25日午後6時のみ)。作・演出は第1話が淀川フーヨーハイさん、第2話があべの金欠さん。出演は草なぎさん、小西さんのほか畠中洋さん、小林きな子さん、池田成志さんら。