映画「一度死んでみた」(3月20日公開)で主演を務める女優の広瀬すずさん。2015年、是枝裕和監督の映画「海街diary」でメインキャストに起用されて以降、若手女優のトップランナーとして走り続けてきた広瀬さんだが、本格的にコメディーに挑戦するのは今回が初となる。本作で広瀬さんは、“反抗期こじらせ中のデスメタル女子”という、これまででもっともパンチの効いたキャラクターに扮(ふん)し、クセのあるせりふや変顔もいとわないなど、見事なはじけっぷりを披露。早くも「新たなコメディエンヌ誕生」との期待が高まっている。
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広瀬さんといえば、明るく爽やかで溌剌(はつらつ)としていながらも、どこか陰も感じさせ、時として顔をのぞかせる繊細な感情表現が魅力で、恋愛・青春映画やヒューマン・社会派作品において大いに発揮されてきた。前述の「海街diary」のほか、「ちはやふる」シリーズや「怒り」「三度目の殺人」といった映画、「anone」や「なつぞら」などのテレビドラマがそれにあたり、1月17日に公開されたばかりの岩井俊二監督の最新映画「ラストレター」もここに含まれるだろう。
しかし、「一度死んでみた」における広瀬さんは、これまでのパブリックイメージを打ち壊すように、艶やかな黒髪をピンクに染め、ハードなメタルファッションに身を包むと、デスメタルバンドのボーカルとしてライブでは観客をあおり、これでもかと言わんばかりに激しいヘッドバンギングを繰り出すなど、コメディエンヌとして全くの別の顔を見せている。
振り返れば、宮崎あおいさん、長澤まさみさん、綾瀬はるかさん、新垣結衣さんといった数々の人気女優たちが、コメディー作品でこれまでにない役柄に挑戦する中、そのセンスを磨き、女優としての表現力や演技の幅を広げてきた。
広瀬さんの同年代の橋本環奈さんもその一人で、コメディー界の旗手である福田雄一監督がメガホンをとった実写映画「銀魂」の神楽役で見せた“鼻ほじり”なども記憶に新しいところ。「銀魂」以降の橋本さんの快進撃を見る限り、コメディー進出は、女優が新境地を見せ、次に向けてのステップを踏む格好の場といっても過言ではないだろう。
王道ヒロインとしての道を歩み、大河ドラマと並ぶ国民的番組である朝ドラ(「なつぞら」)ヒロインをも経験した広瀬さんの、新たな挑戦をどうかお見逃しなく。
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