ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
女子サッカーをテーマにした新川直司さんのマンガが原作の劇場版アニメ「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」(宅野誠起監督)が、6月11日に公開される。同じく新川さんのマンガでテレビアニメも放送中の「さよなら私のクラマー」の前日譚(たん)にあたり、中学校の男子サッカー部で、主人公の女子中学生・恩田希が男子と一緒にサッカーに青春をかける姿を描く。「さよなら私のクラマー」と同じく声優の内山昂輝さんが希のチームメートの山田鉄二、逢坂良太さんが同じくチームメートの竹井薫、土屋神葉さんが希たちと戦うことになる敵チームのキャプテン・谷安昭を演じる。“サッカー男子”を演じた3人に、熱いせりふも多かったという収録の様子、自身の青春時代について聞いた。
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「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」は、マンガ誌「マガジン・イーノ」(講談社)で連載された「さよならフットボール」が原作。幼いころからサッカーを続けてきた恩田希が、藤第一中学校の男子サッカー部で男子とのフィジカルの差に葛藤しながらも「試合に出たい!」という思いを胸に奮闘する姿を描く。高校生になった希が女子サッカーの世界で活躍する姿を描いた続編「さよなら私のクラマー」が原作のテレビアニメが、TOKYO MXほかで放送中。
――演じていて印象的だったシーンは?
内山さん サッカーマンガが原作ということで、試合中のかけ声が結構多かったです。僕が演じる山田は藤第一中学校の男子サッカー部のキャプテンで、チームをまとめる立場でもあるので、みんなを鼓舞する言葉だったり、試合中の指示出しとか熱いせりふが多くて印象に残っています。カロリーを使う収録でした。
逢坂さん メインで描かれるシーンの裏でしゃべっているせりふが多くて、そのために別の台本が用意してありました。僕自身、サッカーのルールを全部分かっているわけではないので、別台本があってよかったなと。
内山さん たしかに、作品によってはアドリブで試合中の応援の声やかけ声を録(と)るパターンもあるけど、そうなると失敗を避けるために凡庸な言葉になりがちですよね。「いけいけ!」「そこだ、狙え!」みたいな(笑い)。この作品は、試合展開に沿ってキャラクターそれぞれのかけ声がちゃんと設定されていて驚きました。
土屋さん 僕が演じるナメック(谷安昭の愛称)は、内山さんが演じる山田君と同じくチームのキャプテンなので、チームメートに「行くぞ!」とかけ声を上げるシーンは、内山さんに「負けないぞ!」と思って声を出しました。
――内山さんは、土屋さんの「負けないぞ!」という思いを感じた?
内山さん いや、本人の心情までは……(笑い)。でも、そういう気持ちは大事だと思います。
――白熱の試合シーンも見どころの一つですが、収録で大事にしたことは?
逢坂さん 試合中は、自分の中に熱を入れつつ、それを相手に聞かせる感じでした。試合中盤から終盤で、恩田が試合に出てからは大声のせりふも多くて、熱くなったのを覚えています。竹井が頭にきてキレるシーンがあったんですけど、僕も熱が入りすぎてマジでキレるということもありました(笑い)。
内山さん 日常のシーンと比べて、試合中は勝とうする熱量が重要だと思ったので、メリハリを大事にしました。ただ、今はコロナ禍の影響で大人数ではアフレコできないので、難しいところもあります。というのも、全員そろった収録ができれば、リアルタイムで試合が展開していくように感じられて、気持ちが乗りやすくなることがあるのですが、人数を絞った収録だと、「次のページのこのせりふはどういうシチュエーションだっけ?」とか一瞬ではどうしても判断できないこともあって。ほかのキャラクターのせりふを想像して、自分のテンションを上げていくことが大事になってくる。
土屋さん 僕は、台本のト書きで試合展開はある程度つかんで収録に臨んだのですが、ディレクションで「ここはもうちょっとこうして」と言われて初めて気付くことも多くて、難しいなと思いました。
――声優の先輩として、内山さん、逢坂さんは、土屋さんの演技をどう感じていましたか?
内山さん キャラクターにぴったりだったと思います。プレーヤーとして格好いい部分もあれば、昔の印象のままで恩田に押され気味なところもあって、いろいろな顔を見せてくれる。
逢坂さん やっぱり演技がナチュラルですよね。僕らは自然にやっているつもりでも、どこかしらファンタジーが入ってきちゃうところがある。神葉君はあまり染まっていないというか、思ったまませりふを発している。僕自身、芝居力やら技術やらが備わってくる度に失っていくものもあるんだと感じているので、神葉君の純粋さも含めて、うらやましいなと思います。
――「さよなら私のクラマー」は、希たちがサッカーに情熱を傾ける青春感あふれるストーリーが魅力です。自身の中学生時代を思い出して共感したところは?
内山さん 僕は中学のころは科学部で、理科室でサッカー部の練習を「寒そうだな」とか言いながら上から見ているタイプだったので……。
逢坂さん めちゃくちゃひとごとですね(笑い)。
内山さん そう、寒いのにこんな遅くまで大変だなって。二人は、運動部だもんね。
逢坂さん 僕は野球部でした。スポーツモノのマンガは、全国大会で優勝しないと気が済まないみたいな向上心が強いキャラクターばっかりなんですけど、僕の場合は、大体8割はこんなものだろうなというのに当てはまる部活だったので、そんな向上心もないというか。毎日の練習がクソ嫌でした(笑い)。
内山さん 運動部の人がよく「きょうも練習かよ~」とかだるそうに言いながら、でもちゃんと部活に行くの、何なんだろうね。嫌だから辞めるとかじゃなくて練習行くんだって。可愛らしいよね。
逢坂さん 練習は楽しくなかったですけど、終わった後にみんなでお好み焼きを食べに行ったりするのは楽しかったですね。
内山さん 最高じゃん。神葉はサッカーやってたから、この作品に一番ぴったりだよね。
土屋さん 僕は小学校の頃からサッカーをやっていたんですけど、今回この作品に携わらせてもらって台本を読んでいくと、何一つ分かってなかったなって思いました。僕が憧れていたのはこの戦術だったんだと、今になって知るという。戦術面とかドリブルでどうやったら相手を抜けるとか、物語を見て知ることが多いので、本当に今小学校に戻りたくて。この知識で小学校に戻ったら最強だなって。
内山さん “強くてニューゲーム”だね(笑い)。
――内山さんは科学部で青春を感じたことは?
内山さん 青春? 何してただろう……近所の水辺から水をくんできて、それを顕微鏡で見るとか。ただ、どんどん部員がサボり出して、その幽霊部員を何とか連れてこようとしてました。帰りの会が終わったら、みんなでダッシュでそいつの教室に行って連行するとか、よくわからないことをやってましたね。あと、暇すぎて、科学部なのに英語禁止ゲームをやって、英語を言ったら筋トレするとか。間違えまくってめっちゃ筋トレしてましたね。本当にどうしようもない(笑い)。
――劇場版の見どころは?
逢坂さん 青春ストーリーではあるんですけど、男女の違いだったり、リアルな部分も描かれています。ともすれば重い印象になってしまうテーマですが、新川先生の絵のテイストで、どんどん前向きにさせてくれる。自分の中の熱がどんどん上がっていく作品だと思うので、見終わったら、ちょっと一息ついちゃうぐらい熱中できると思います。
土屋さん テレビシリーズの高校生編を見てから劇場に行く人も多いと思うのですが、劇場版では、恩田やほかのキャラクターにどんなことがあって、今に行き着いたのかが分かります。劇場版を通して、より作品を愛していただけるかなと思うので、ぜひ臨場感たっぷりの大きなスクリーンで見ていただけたらうれしいです。
内山さん 男性ファンが見ても女性ファンが見ても楽しめる作品だと思います。主人公は女子選手ですが、男子キャラも深く描かれますし、チームの監督も重要な役割を果たします。男女分け隔てなく、いろいろな世代の方に見ていただきたいです。
テレビアニメでは、主人公・恩田希を見守る存在として登場する山田ら男子キャラが、劇場版では共に戦う仲間、ライバルとして活躍する。内山さん、逢坂さん、土屋さんが声を吹き込むキャラクターたちの青春をスクリーンで感じたい。
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