フリーアナウンサーの青木源太さんの著書「口ベタな人ほどうまくいく たった1日で会話が弾む! 話し方のコツ大全」(宝島社)が8月10日に発売された。日本テレビアナウンサー時代に得た経験やエピソードをふんだんに盛り込み、口ベタな人でもすぐに実践できる会話が弾む方法、相手にきちんと伝える方法を80以上紹介している。15年のキャリアを通じて、初めての著書で「フリーになったきっかけの一つである“いろいろなことに挑戦したい”という思いの表れ」と位置づける青木さんに話を聞いた。
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2006年にアナウンサーとして日本テレビへ入社し、昨年秋のフリー転向後も司会者として活躍するなど、“しゃべりのプロ”というイメージのある青木さんだが、「自分は特段、話が上手だったり、コミュ力がめちゃくちゃ高いとは思ってはいない」と明かす。
一方で、「身の回りにアナウンサーやお笑い芸人さんがたくさんいて、話のうまい人を数多く見てきたという自負はあるので、それらに基づいた感想や経験を語ることはできると思った」という青木さん。そして生まれた初の著書は、コミュ力を高めるヒントとなりそうな“話し方のコツ”が具体的かつ丁寧に記されているのも特徴だ。
「話し方やコミュ力に関して悩んでいる方ってたくさんいると思うんです。今回87個“コツ”を書きましたけど、すべてがすべて、ためになるとは思ってはいません。ただこのうちのいくつかは、『自分も取り入れてみようかな』と思うものがあるのではないのかなと思っています。職場や学校とかで話す機会があって、伝える力を高めたいなって思っている方に手に取ってもらいたいです」
自身の経験や考え方を一冊の本にまとめるにあたり、「話すことも文字で伝えることも結局は似ているなとは思いました。結論を分かりやすくいうとか、何かに例えてみるとか」と“気づき”も告白する。
また、大事なことは「難しいことを説明するときに、いかに簡単な言葉に置き換えることができるか」で、「私は林修先生と池上彰さんがコミュ力=伝える力が一番あると思っていて。お二方は難しい事柄であっても、分かりやすい言葉で、誰にでも伝えることができる天才。結局、コミュニケーションで大事なのはその部分。難しい言葉を並べても、相手に伝わらなければ全く意味がない。何かを伝えようと思ったときは、なるべく優しい言葉で、誤解を生まないように正しく伝える。アナウンサーとしても目指すべきはそこなのかなって思っています」と結論づけた。
元々「口ベタなタイプ」で、今でも「特別、話がうまいとは思ってはいません。アナウンサーの同僚でもっと話がうまい方はいらっしゃいますし、芸人さんで口が達者だなあと思う方はたくさんいる」という青木さんが、普段から一アナウンサーとして一番に考えていることは、やはり「物事を正しく伝えること」。
「『正しく伝えること』の次に効率的に、面白く、効果的にといったものがくるとは思うのですが、そこに行く前にまずは『正しく伝えること』がとても大事。特に不特定多数の視聴者がいるテレビというメディアにおいて、すべての人に誤解がないよう正しく伝えるってことは、実はとても難しいことだったりもするんです。例えば天気予報で『明日は晴れそうです。良かったですね』と言ったとして、『良かった』とならない人もいる。それはアナウンサーになって一番、最初に感じたことで、15年近くたっても、変わらずとても大切にしていますし、原点でもあるので、ブレてはいけないなって」と語る。
そんな青木さんも若手の頃は「自分が印象に残るコメントをしたいとか、しなくちゃっていう気持ちが実はあった」という。
そういったことが、ある意味「誤り」であることを教えてくれたのが、日本テレビの朝の情報番組「スッキリ」の総合司会を務めるお笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次さん。青木さんは局アナ時代、入社2年目から同番組に8年間にわたって出演していた。
「今回の本の中にも書きましたが、加藤さんとの出会いっていうのは僕の中でとても大きくて。『自分がおいしくなるのではなく、共演者がおいしくなるようにしなさい』という言葉は今でもアナウンサーとしての大切な指針にしていて。当時は自分が印象に残るコメントをしたいとか、しなくちゃっていう気持ちが実はあったのですが、そうじゃなくて、番組に出てくださるゲストの方が一番輝くようにするのが、僕の仕事であると。それは当たり前のことかもしれなかったのですが、アナウンサーでも実況で名言を残す方がいたりするじゃないですか。ちょっと自分も勘違いしていたときだったので」
青木さんいわく、加藤さんの口調は「叱責に近かった」というが、「それは僕は愛だと思っていて。加藤さんは本当に愛がある方で、とても感謝していますし、そのとき加藤さんに言われたことは今にもつながっていると思います」としみじみと振り返っていた。