放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
1月16日からスタートする連続ドラマ「ハレ婚。」(ABCほか、日曜午後11時55分)に出演する俳優の稲葉友さん。ドラマは“一夫多妻”をテーマにした異色ラブコメで、稲葉さんは女優の島崎遥香さん扮(ふん)する主人公・前園小春を3人目の妻に迎えるハレ婚夫・伊達龍之介を演じる。稲葉さんに“ハレ婚夫”役への思いや島崎さんら共演者の印象、30代への意気込みなどを聞いた。
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ドラマは、マンガ誌「週刊ヤングマガジン」(講談社)で2014~19年に連載され、累計260万部を突破したNONさんの同名マンガが原作。一夫多妻制が認められた架空の町を舞台に、複数の妻を持つことができる「ハレ婚=ハーレム婚」を描いた作品で、なぜか浮気男とばかり付き合ってしまう「既婚者ハンター」の小春が、不思議な魅力を漂わせる龍之介と出会い、ほかの美人妻たちとハレ婚ライフを送ることになる……というストーリー。龍之介の1人目の妻・ゆず役で柳ゆり菜さん、2人目の妻・まどか役で浅川梨奈さんも出演する。
“一夫多妻”という風変わりなテーマの作品に挑んだ稲葉さん。原作の印象を聞くと「『どうしよう』って思いましたね」と笑顔で明かす。「どうドラマにするんだろう……と。龍之介という人自体に対しても『すごいなこの人』と思いました。よくこんなこと言えるな、ということを言えてしまう人なんですよね。特に序盤の、いろいろな情報を開示する前のインパクトはすごい。この人をどう体現するのか?とすごくプレッシャーを感じました」と語る。
龍之介は、元ピアニスト兼作曲家。整ったルックスとセクシーな魅力を持つ人物だ。「力強さがある見た目じゃないけど、めちゃめちゃ芯がある人。『こうだ』と思ったことをまっとうできる男らしさのようなものがあるので、そういう部分を大事にしていけたらと思いました」と稲葉さん。脚本を読み、「『ここはここにつながってくるな』とか、ある程度逆算しながら、つながりを確認して……演じるときは、それを気にせずにせりふを言えるようになっているといいな、と。ああだこうだと理屈で考えつつ、本番ではそれを全部捨てる。そういう作業の繰り返しだった気がします」と振り返る。
「ミステリアスで、3人の妻と暮らす男性」という特殊なキャラクターゆえ、演じるうえでは苦労もあった。稲葉さんは「一歩目が、すごく難しかった気がします」と当時の苦労を話し、「自分と龍之介のスタート地点の距離が、すごく遠かった気がします。そして、そう思ってしまったことも、自分の中で『やっちまった』ことで(笑い)。龍之介を遠くに見すぎたところがあったんですね。そこから自分で歩み寄ったり、手繰り寄せたりしたんですが、その最初の作業に、すごく時間がかかりました」と語った。
そんな龍之介には、あこがれのような感情も持った。「いいな、と思うところがあって。妻が3人いることにびっくりしたんですが、仮に妻が1人だったとしても『こんなに自分自身を傾けて愛せるだろうか』と考えたんです。そもそもの愛情(の大きさ)が規格外で、シンプルにすごいと思えました」と感嘆する稲葉さん。「龍之介は、強引な部分と臆病な部分のバランスが極端な人。だけど、核の部分ではどこかで怖がっていたりもして、優しくしてあげよう、という思いにさせられるんです」と演じたキャラクターへの思いを語る。
“3人の妻”については、「本当に三者三様。それぞれのキャリア、歩いてきたルートが全然違っていて、その違いがすごく出ていましたね。小春、ゆず、まどかという毛色が全然違う3人が一緒にいるんだけど、すごくハマってて面白いなと思いました」と楽しげに語る稲葉さん。撮影のときは「『相手のことを好きになれるかな?』ということを考える」と明かし、今作では「容易に3人とも好きになれて(笑い)。すごくすてきな人たちだと思いましたね」と笑う。
特に共演シーンが多かったのは、主人公の小春を演じる島崎さんだった。稲葉さんに島崎さんとの共演について聞くと、「面白かったですね」と即答。「僕にないものをたくさん持ってる人だから、見ていて興味深かったですね。やっぱり、すごく芯がある。でっかい組織の中で、すごく人気がある人で……そこにいる人生って、想像が及ばないですよね。ちょっと異次元な迫力を感じる瞬間もあるし、一方、すごくうそがない人だから、顔を見れば一発で何を考えているか分かる、というところも可愛らしい。自分がいいと思うもの、違うと思うものの精査がはっきりしていて、面白いなと思いました」と印象を口にした。
今作の撮影を経て「ハレ婚」への見方も大きく変わったという稲葉さん。「撮影に入る前と終わった後で『ハレ婚』というものに対する見え方が違うことが面白いですね。はじめはやっぱり、びっくりするじゃないですか。でも、今はその感覚がもうなくて。『こういう形もあるんじゃないか?』と思えるんです」と心境が変化したという。
「異質から見えてくる本質、というものがある。勝手に浮き彫りになるんですよね。それは真っすぐ歩いているだけでは見落としてしまいそうなもの。『変だよ、それ』というけど、『その“変”ってなんで?』と(笑い)。撮影を終えてそういう見方が明確にできました。それが今後の人生の助けになる気がしています。『普通はこうじゃん』という感覚は、たぶん自分の中にもめちゃくちゃいっぱいある。常識の普通、自分の生きてきたルートの普通、業界の中の普通……いろいろな“普通”があると思いますが、『おかしいな』と思ってもいいし、クレイジーな中に、めちゃめちゃピュアな本質が見えたりもする。それが確認ができたことが大きかったなと思います」と語る。
現在29歳。30代を目の前に、「20代は本当にいろいろなことをやらせてもらいました」と振り返る。「すごい同世代が多い年齢なんです。第一線の人間が多すぎる、というぐらいの世代なんですよ。だからいろいろ考えはするんですけれど、ここで向き合うべきは自分だな、と思っています」と考えを明かす。
「もちろん目の前のことは超大事なんですけど、40、50代をどうするか?ということを考えて30代に突入していくと面白いのかな、と。自分の40代に興味があるんですよね。『ちゃんとおじさんになれているだろうか』と。先に進むために、改めて自分を見つめ直して、整えて、どこに向かうかを考えないといけないな、とちょうど思っている時期なんです。この1年を使って、しっかり、この先どうしていくか、ということも考えていけたらいいなと思います」
30代には「わくわくしている」と、楽しみにしている部分もある。「僕らの世代がみんな30代になるわけだから、その辺りの人たちを使った作品が増えるだろうと、わくわくはしています。個人でできること、自主的にできることも増えていくと思います。年齢に信頼がついてくる部分もあるでしょうから……個人でできる発信が増えそうで、いいなと思っています」と“これから”に期待を寄せた。
※クレジット(敬称略)
ヘアメイク:AKIHITO HAYAMI(CHUUNi)▽スタイリスト:SOEDA KAZUHIRO
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