上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第13週「1964-1965」(1月24~28日)では、るい(深津さん)と錠一郎(オダギリジョーさん)が、京都で回転焼き作りに奮闘する様子が描かれてきたが、SNSではこの和菓子の名称を巡って話題となっている。というのも、地域によって呼び名が異なるからだ。由来も含めて、「カムカムエヴリバディ」で和菓子指導を担当する中西信治さんに“回転焼き”を解説してもらった(なお本文ではドラマにならい、名称を「回転焼き」とする)。
ウナギノボリ
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◇江戸時代、神田の今川橋付近で誕生?
小麦粉の生地にあんこをはさんで金型で焼いた、丸いお菓子の「回転焼き」。今作では「回転焼き」とされているが、全国的には「大判焼き」、関東では「今川焼き」、関西では「回転焼き」と呼び名が異なる。さらに、「御座候(ござそうろう)」「おやき」「二重焼き」「円盤焼き」など地域によって実にさまざまな名称がある。
大阪で和菓子店「御菓子司 吉乃屋 松原」松原本店と北堀江店を営む中西さんによると、「諸説あるが、江戸時代の中期1772年ごろ、東京・神田の今川橋(現在の千代田区鍛冶町1丁目と中央区日本橋室町4丁目を結んでいた橋)あたりで誕生した説が有力だ」という。
「その後、シンプルで素朴な回転焼きは徐々に全国各地に広がっていきました。お店を独自に構えるもののほか、縁日の屋台でも欠かせないものとして人気となりました」と説明する。
ドラマでは、るいが「おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」とおまじないを唱え、小豆を炊く姿が印象的だった。定番のあんこだけではなく、近年は変わり種も多く登場している。「時代と共に生地に卵を入れるもの、はちみつを入れるものなど、独自のものが開発され、中身も小豆粒あん、こしあん、白あんなどのあんこから、カスタード、チョコなどのクリームのほか、めんたいポテトやカマンベールチーズなど多岐にわたるものが誕生しています」と、その発展の歴史を語る。
地域によって「回転焼き」「大判焼き」「今川焼き」「御座候」などさまざまな名称がある理由を聞くと、中西さんは「シンプルで素朴な回転焼きは、どこの地域でも皆さんに愛される人気のお菓子であり、その愛着さゆえ、地域でさまざまな独自の名称が生まれてきました」と説明。
「製法、外観(見た目)、地名、店名など、さまざまな名称が生まれましたが、商品が売れることで、その地域に広がり、呼び名が各地で定着していき、全国にさまざまな名称が生まれることとなりました」と語る。
地域によって名称が異なる回転焼きだが、名称によって製造法などに違いはあるのだろうか。中西さんは「店舗によって作り方(タネの落とし方やあんの入れ方)や道具、あんの違いはありますが、名称によって違うということはありません」と話す。
かつては焼きたてが店頭販売されることが多かったが、保存方法や物流の発展などにより、冷凍食品としてスーパーやコンビニエンスストアでも販売され、日本人から広く愛されている回転焼き。その人気は日本にとどまらず、「最近では韓国や台湾などでも販売されている」という。
中西さんは、「いずれにしても、時代や環境に見合った形で回転焼きも発展を遂げており、これからもまだまだ発展していくと、明るい未来に期待しております」と目を輝かせた。
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