放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
「『君に懸けてるから、私は』と樹木希林さんがすごく期待をかけてくださった。そういうことを思い出して、自分のケツをたたいて、頑張ろうかなと思っています」。2018年公開の映画「モリのいる場所」(沖田修一監督)で共演した故・樹木希林さんとの思い出を語ってくれたのは、俳優の吉村界人さん。樹木さんからいろいろなことを教えてもらったといい、時折思い出しながら俳優業に挑んでいる。出演ドラマ「ケイ×ヤク―あぶない相棒―」(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)への思いや、樹木さんとのエピソードを聞いた。
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ドラマは、講談社の少女・女性向けマンガアプリ「Palcy(パルシィ)」で連載中の薫原好江さんの同名マンガが原作。公安捜査官の国下一狼(鈴木伸之さん)とヤクザの英獅郎(犬飼貴丈さん)が協力し合う関係を周囲に隠すため、2人で偽りの“恋人契約”を結んで動き出す。職業も性格も正反対な男たちが、闇に葬られた事件を秘密裏に追ううち、巨大な陰謀に巻き込まれていく物語。
吉村さんが演じているのは、総理大臣・大須公昭(板尾創路さん)の息子で、自政党衆議院議員の大須匡。一狼と獅郎が追う、20年前の東京テトラビル爆破事件に関わる重要な役どころだ。
「変わった環境で育って、性格がゆがんでしまった役」と説明した吉村さん。自身は傷つかないようにしつつも、攻撃をするような人物といい、第3話(1月27日放送)では、怒った匡がソファを蹴っ飛ばすなど、荒々しい場面も描かれた。
第1話の放送をリアルタイムで見たという吉村さんは、「ものすごいかっこいい映像で、見やすくて楽しかったです」と話す。匡の演出については、「性格が良くない、というのを結構誇張して(笑い)。面白かったです」と明かす。
視聴者に向けては、「どこか身に覚えがある今の若者のスタイルを重ねて、『ちょっと俺っぽいな』と投影していただいたらうれしいですし、なにが大事なのかをもう一回考えるきっかけになれればいいのかな」と話す。
吉村さんは、1993年2月2日生まれ。東京都出身。映画をはじめとしたエンターテインメントが好きだったといい「気づいたら事務所に電話していて。たまたまオーディションがあると聞いて、母親に写真を撮ってもらって。受かって(芸能活動が)始まったんです」と振り返る。
演じることは、想像していたものより、はるかに難しかった。「何だってそうだと思うんですけど、すごく責任感があるし、全然イメージ通りではなくて。みんなが見ているものよりももっと地味、みたいなことが大半」と話す。
2014年、「ポルトレ -PORTRAIT-」(内田俊太郎監督)で映画主演デビューした後、数々の映画、ドラマ作品などに出演してきた。
普段、笑ったり泣いたり叫んだりすることは「あまりない」と話す吉村さん。「(1年のうち)300日くらいは普通に過ぎていく。でも、(俳優業は)非日常をやるので、脚本を読んでいて、『自分ってこういうところが結構あるんだな、ちょっと分かるわ』と新しい自分がどんどん見つかる」と明かしながら、「いろいろな人に出会えて、自分を知っていくようなことはあるかもしれないですね」と役者業の面白さを語る。
樹木さんとは、吉村さんが26歳の頃、撮影現場で初めて出会った。「『君に懸けてるから、私は』と期待をかけてくださったり、『俳優、あなたは頑張ってよ』と言ってくださったり。『まあ悪くなかったわ、芸能界』みたいなこととか、ライフスタイルの話とか、いろいろなことを話しました」とやりとりを明かす。
ベテラン女優からのエールに、当時は「荷が重い」と感じたというが、「自分のためだけにやっていると、しんどくなるときもあるんですよね。だからそういう言葉を思い出して、頑張ろうかなと思ったり……」と話す。ほかにも、「あなたは自分をもうちょっと大事にしなさい」「そのままやってね」などの言葉をかけてもらったという。
今作をはじめ、オファーが来たものに対して、「全力で返そう」という気持ちがあると語る吉村さん。「真剣にお芝居のことを考えて、自分は“俳優部”であることを改めて考え直して。自分の言葉を持ちながらも、ちゃんと人の言葉を自分のことのように話せるようにしたいです」と力を込めた。