放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
俳優の鈴木伸之さん演じる公安捜査官の国下一狼と、犬飼貴丈さん演じるヤクザの英獅郎のバディーが登場する連続ドラマ「ケイ×ヤク―あぶない相棒―」(読売テレビ・日本テレビ系、木曜午後11時59分)。視聴者からは、「二人がマンガから飛び出してきたみたい」「キャスティング神かよ!」といった声が上がるなど、注目を集めている。撮影現場を訪れ、鈴木さん、犬飼さんと対面した原作者の薫原好江さんは、「お二人はすごく細かいところまで作ってくださっていて、一狼と獅郎そのもの」と話す。薫原さんに、ドラマ化が決まったときの思いや、マンガ制作の裏側を聞いた。
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ドラマは、講談社の女性向けマンガアプリ「Palcy(パルシィ)」で連載中の薫原さんの同名マンガが原作。一狼と獅郎が、闇に葬られた事件を秘密裏に追ううち、巨大な陰謀に巻き込まれていく物語。
元々、「社会規範など、いろいろなものの中で戦い、強くあろうとする姿と、何にもとらわれない素の姿のギャップを描きたい」という思いがあったという薫原さん。「連載を立ち上げたときは、(現在の担当者とは)別の編集さんだったのですが、なにげなく“警察とヤクザのバディーもの”という提案をいただいて。そこから今の形になったんです」と振り返る。
偽りの“恋人契約”を結んで動き出す一狼と獅郎。2人の秘密捜査は、国家を揺るがす事件、2人の運命とも結びついていき……と展開していく。ドラマを手がける小島祥子プロデューサーは、先が気になる骨太なミステリー展開に加え、一狼と獅郎という“ブロマンス”(男性同士の熱い友情)の絆が描かれる原作に魅力を感じたと話していた。
サスペンスを描くのが初めてで、苦労も多いという薫原さんだが、「唯一無二の相棒である一狼と獅郎の関係。そういうようなところに、一番思いを込めています」と明かす。
ドラマ化のオファーを受けたときのことについて、「信じられなかったんですけど、すごくありがたくて、うれしくて」と振り返った薫原さん。「“マンガ的”な描写がすごく多い作品なので、どんなふうに映像化されるんだろう?と楽しみな気持ち」だったというが、第1話を見た際には、その映像の“かっこよさ”にすぐに引き込まれた。
ドラマの最後に放送される「おまけ」では、ハードボイルドな本編とは違った、一狼と獅郎のコミカルなやりとりが描かれ、人気を集めている。「マンガと同じような感じで作ってくださって、うれしかったです。ドラマでは、わりとワンカットで撮られていて、より身近な印象というか、のぞき見しているような、ほっこりする印象を受けました」と話す。
今回、ドラマの撮影現場を初めて訪れたという薫原さんは、「たくさんの方の撮影にかける労力を感じて。小道具をちらちら拝見していると、原作で描いたものがさりげなくあったりして(笑い)。すごく細かいところまで見てくださっているんだなと感動しました」と明かす。
また、鈴木さん、犬飼さんとも話をする時間があったといい、「一狼は、獅郎にいじられる、みたいなところがあるんですけど、お二人の関係性もそういうようなところがあるように感じられて(笑い)。すごく仲が良さそうに感じました」と印象を話す。
第1話冒頭に登場した、一狼と獅郎がイルミネーションの中を歩いているシーンについて、「マンガで描いていた時に、感極まって泣きながら描いていた」と明かした薫原さん。ネーム(コマごとのセリフなどを大まかに表したもの)を描いているときに泣いてしまうことがあるといい、「そのときのキャラクターの感情が、私の中でぴったりはまった時に、わーっとあふれる感じがあって。結構重要なシーンとかは涙が出たりします(笑い)」と明かす。
キャラクターの気持ちを見つけられたような感覚だといい「人の死だったり、過去のトラウマなど、結構重いものを扱っているので、キャラクターの内面をさぐるときに、自分自身が揺さぶられることが多いです」と続ける。
マンガを描くにあたっては、“自分の感情が動くかどうか”を大切にしている。「面白くないシーンになってしまっているときって、頭で考えている感じがして、私自身もあまりテンションが上がっていない感じがある。これではダメだと、その先にいけたときに、『すごくいい』という手応えを感じるので、そこに到達できるようにします」と話す。
そんな薫原さんにとって、今作は“宝物”。「最初の担当編集者さんが、『ケイ×ヤク』の連載が始まってすぐの頃に亡くなってしまって。私がデビューした頃からずっと一緒に作っていた方で、その方と最後に立ち上げた作品が『ケイ×ヤク』で……。現在の担当編集者さんが引き継いでくださって、支えてくださって。読者さんにも愛していただけたり、ドラマ化のお話をいただいて、よりたくさんの方に見ていただけて、私の中で大切な作品です」と語った。