寺澤百花×永瀬アンナ:「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」 独特の会話劇の裏側 アニメっぽくない芝居 チハルとマキナの魅力

アニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」に出演するチハル役の寺澤百花さん(左)とマキナ役の永瀬アンナさん
1 / 20
アニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」に出演するチハル役の寺澤百花さん(左)とマキナ役の永瀬アンナさん

 2025年7月から放送、配信されたショートアニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」の劇場版「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」が2月6日に公開された。「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は、2022年に当時映像系専門学校生だった亀山陽平さんが卒業制作としてYouTubeで公開した短編3Dアニメ「ミルキー☆ハイウェイ」の続編。銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナらが、奉仕活動として惑星間走行列車“ミルキー☆サブウェイ”の清掃をすることになり、突然暴走し始めた車内で大事件に巻き込まれることになる。SFではあるがどこか懐かしさを感じるビジュアル、独特でナチュラルな会話劇などが人気を集め、YouTubeでの総再生回数は2億回を突破している。劇場版は、ショートアニメシリーズ全12話を再構成し、新作パートを追加した。チハル役の寺澤百花さん、マキナ役の永瀬アンナさんに作品の魅力や収録の裏側を聞いた。

あなたにオススメ

 ◇映画化にびっくり!

 --「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は先が読めない展開ということもあり、放送中はSNSで考察が盛り上がるなど大きな話題を呼びました。お二人にも反響が届いていた?

 寺澤さん SNSのタイムラインに感想やファンアートが流れてくるのもそうなんですけど、プライベートでも仕事の現場でも「ミルキー☆サブウェイ見たよ」と言われて。自分の周りにもグッズを買ったり、絵を描いたりして見せてくれる子も多くて、私はすごい作品に出れたんだなとすごく実感しておりました。

 永瀬さん 私もいろいろな人に「すごく面白かった」と言われました。役者さんだけでなく監督、音響監督などクリエーターの方にも「すごく面白いアニメーションがあるんだね」という話をしていただいて、いろいろな方向から「ミルキー☆サブウェイ」がすごく面白いものとして認識されているんだなと思いました。私もSNSのタイムラインにファンアートが流れてくるのが本当にうれしくて。収録している時から、早くこの楽しさをみんなで共有したいと思っていたので、それが大きく昇華されてよかったです。

 --「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」が“映画”になると知った時の率直な感想は?

 寺澤さん 実は、私たちは特番の撮影中にサプライズで知らされたんです。撮影の終盤で急に亀山監督に「そう言えば、劇場版が決まりました」と言われて、二人で「えー!」って。

- 広告 -

 永瀬さん 本当に「ぎゃー!」って。

 寺澤さん そのくらいすごくびっくりしたし、何よりあの世界観をまた劇場版で見られるのが、純粋な作品のファンの気持ちとしてすごくうれしかったです。

 永瀬さん 私は元々「ミルキー☆サブウェイ」の台本や映像を見て、すごく映画向きだなと思っていました。ところどころに「映画が好きな人しかやらないよな、この演出」みたいなところがあるんですよ。キービジュアルも80年代の映画みたいな雰囲気もありましたし、「これ絶対映画館でやるべきだよな」と放送している時から思っていたら映画化が決定したので、めちゃくちゃうれしかったです。

 ◇真逆なチハルとマキナの魅力 成長も

 --チハルとマキナの関係性も作品の魅力の一つとなっています。二人は学生時代からの腐れ縁で、マキナがチハルを守るために元彼のアゴを殴って失神させたり、ナンパしてきた上級生をボコボコするなど、これまでも何度も警察のお世話になっています。

 永瀬さん 全然違う二人だから面白い。演じている私たち二人もタイプというか、持っているものが違うんです。それがまた面白くチハルとマキナに反映されていて、小気味いい会話が楽しいなと思います。

 寺澤さん この二人の関係性って、需要と供給というか、チハルを常に支えてあげるマキナと、それがうれしいチハルの相性がよくて、今まで長く付き合ってきた二人なんだろうなと、私も本編ですごく感じることができました。この二人の真反対で凸凹なところが、ちょうどいい具合にハマっているのかなと感じます。

 --そんな二人の関係性を特に感じたシーンは?

 寺澤さん 第3話の二人の取り調べの回は、二人にこれまでどんなことがあったのかという関係性が分かる回で、いつもマキナがチハルのために暴走しちゃって、でもチハルもそんなマキナを止められないから、一緒に逮捕されてしまうことが何回もあったという。マキナはチハル以外と仲良くできなくて、チハルは自分がダメだと思ったことを止める力がなくて。それを第11、12話で二人とも克服する。マキナは、チハルだけのためじゃなくて、みんなと一緒に戦うことでここを脱出しよう、という。チハルの思いを受け取って、一緒に全員で協力してO.T.A.M.(オータム)ちゃんと戦うところは、すごく成長を感じました。

 永瀬さん 私も似たようなことを思っていて、一見コメディーでギャグで軽やかに見えるんですけど、二人の関係性はちょっとドロッとしているところもあるのかなと。チハルのためだったらマキナは何でもやっちゃうし、チハルは受け身の状態で、今まで逮捕されてきたのも、そういうグダグダの関係が心地良くてずっと続いているから。共依存じゃないですけど、執着じみたところも少しはあるのかなと思いました。それが、いろいろな人と関わるにつれてちょっとずつ変わっている気がしました。

 ◇“アニメっぽい芝居”NG 芝居に合わせた画作りに感動

 --「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ」は、生っぽくテンポのよい会話劇も大きな特徴となっています。収録の様子は?

 寺澤さん 最初におなかに力を入れないだるいしゃべり方をしてほしいというのと、「アニメっぽい芝居にしないでください」というアニメーションの現場ではなかなか聞かないディレクションをいただきました。私としてはそこが最初の課題だったのですが、第1話で亀山監督に「チハルは寺澤さんのそのままのしゃべり方で大丈夫です」と言われて一気にやりやすくなった感覚があって。自分がこのセリフをしゃべるとしたらこうしゃべるなと。そこから話数を重ねるごとに、自分とチハルが一緒になれた気持ちがありました。だから、亀山監督の言葉はチハルを演じやすくしてくれた魔法の言葉みたいでした。

 永瀬さん プレスコ(先にセリフを収録し、その音に合わせて映像を作っていく手法)で、自分たちのお芝居に丁寧に沿って画(え)を作ってくださったので、会話・動きがリアルに感じます。いろいろな作品でプレスコってあるんですけど、とはいえアニメの画なんです。口の形だったら、「あ」の形、「い」の形とちゃんと決まっているんですけど、「ミルキー☆サブウェイ」は、正確にグダグダなしゃべり方の口を表現しているんです。口だけじゃなく、呼吸してちょっと揺れている体の動きなどが再現されているから面白い作風になっていて。それを全部見越してのディレクションだったんだなと感動しました。すごいなって。

 寺澤さん 動き一つ一つにリアリティーがあるんです。歩き方、まばたき、首の動きとかキャラごとに個性が出ていて、「あ、この子たち生きてる」とすごく感じることができました。私たちの芝居を受け取って描いてくださったのも、そういう細かいディティールにもすごく感動したし、うれしかったです。

 --プレスコならではの難しさや楽しさはありましたか?

 寺澤さん 新鮮でした。私自身、プレスコが初めてだったことに加えて、今までにない芝居感を求められたのがすごく楽しくて、ワクワクしました。画がない状態だから、好きに芝居ができる。監督も「芝居に画を合わせる」と言ってくださって、縛られることがほぼない状態で掛け合いができたので、すごく楽しくて新鮮で、いい経験をさせてもらったなと思います。

 永瀬さん 監督がこんなにも信頼してキャラクターを預けてくださって、だからこそ私たちも楽しくお芝居させていただきました。自由度はすごく高いなと思いましたし、芝居に合わせて画を作ってくださったのですごくやりがいも感じました。完成した映像もすごく面白くて、監督の懐の深さとセンスと、声優さん、スタッフの頑張り度が全部詰まっているなと思いました。

 ◇勉強になった現場 より深掘りできる劇場版

 --寺澤さん、永瀬さんのほか、リョーコ役の小松未可子さん、アカネ役の金元寿子さん、カナタ役の小市眞琴さん、カート役の内山昂輝さん、マックス役の山谷祥生さんという豪華声優陣が出演しています。今作で共演して感じたことは?

 永瀬さん 私は、寺澤さんのチハルはずっとすごいなと思っています。

 寺澤さん えー! そっくりそのままお返ししますよ。

 永瀬さん まず、お声が天性のものだと思うんです。可愛らしいとか人をひきつけるような声って限られていて、それをお持ちで。さらに、チハルって、芝居の仕方とか、見ようによっては嫌味に感じられてもおかしくないキャラクターだと思うんですけど、それをすごく可愛らしく「好きになっちゃう」「もっと知りたい」と思うような良い塩梅で演じられていて、本当にすごいと思いました。こんなに可愛らしくいとおしいキャラクターになったのは、監督が作ったキャラクターと寺澤さんのお声とお芝居がすごくいい具合に掛け合わさったからなんだなと思います。

 寺澤さん ありがとうございます!

 永瀬さん 最高っす!

 寺澤さん 私はアンナちゃんが出演していた「サマータイムレンダ」を見ていたので、マキナ役がアンナちゃんだと聞いて共演できるうれしさと、「あ、絶対すごいうまい!」と確信があって。実際にマキナの声を聞いた時のナチュラル感というか。私がチハルのお芝居をできたのは、絶対アンナちゃんのおかげだと思っています。掛け合う相手がうまいと、自分もすごく芝居が楽しくなる感覚があって、それをアンナちゃんとお芝居している時にすごく感じました。ご本人はすごく穏やかな感じなのに、あのマキナのヤンキー感はどこの引き出しを引っ張ったら出てくるんだろう?みたいな。自分自身もすごく勉強になった現場でした。本当にありがとうございました。

 永瀬さん いや、こちらこそです。本当にこの現場は、すごい声優さんしか集まっていなくて、監督の細かいディレクションに対応できるメンバーがすごすぎて、すごく勉強になったし、頑張んなきゃと改めて思った現場でもありました。

 --劇場版の見どころを教えてください。

 寺澤さん 新録されたパートがあって、新キャラが登場するのですが、ほかのキャラクターがこうしている裏でこのキャラはこうだったんだ、という部分が見られます。より深く「ミルキー☆サブウェイ」を知れる仕上がりになっていると思うので、楽しみにしてほしいです。

 永瀬さん やっぱり新作パートを見ると、より解像度が上がります。ちょっとサスペンス味が強くなりますよね?

 寺澤さん うん!

 永瀬さん ストーリー性が強くなっている気がするので、そこも見ていただきたいです。劇場版はショートアニメシリーズの余白をちょっとずつ埋めているので、もっと面白く、深掘りできるんじゃないかと思います。

しろいぬ/MANTANWEB

写真を見る全 20 枚

マンガ 最新記事