プレスリリース詳細 https://kyodonewsprwire.jp/release/202602164157
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化粧品や医薬品、材料開発など、ナノ粒子を活用する産業分野での品質・安全性評価の共通基盤に
ポイント
・ ナノ粒子を形や大きさごとに分けられる「流動場分離法」に関する世界初の国際規格が発行
・ 流動場分離装置使用にかかる実践ポイントを整理し、卓越した技術者以外の操作をサポート
・ ナノ粒子を活用するさまざまな分野において、安全で信頼性の高いものづくりを支える重要な基盤に
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ナノ粒子の安全性評価や品質保証のため、ナノ粒子を形や大きさごとに分けられる流動場分離法の利用に関し、操作や分析上の重要なポイントを規定した国際規格ISO 21362:2026(以下「本規格」という)が発行されました。国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、国内外の研究者や装置メーカーと連携して操作条件の最適化や大規模な国際比較試験を行い、本規格の発行に貢献しました。
本規格の対象である流動場分離法は、液体中に分散したナノ粒子を前処理することなく分離し、その粒子径や凝集状態を高精度に評価できる有用な分析手法です。前処理工程を省略できることにより、分散状態の変化や粒子の再凝集・解離といった測定試料の形状変化を最小限に抑え、実試料の状態をより忠実に反映した評価が可能となります。一方で、操作条件や装置構成の影響を受けやすく、同一試料であっても測定結果に差が生じやすいという特性があり、測定結果の比較や信頼性確保が課題とされてきました。
こうした課題を踏まえ、産総研は国内外の研究者および装置メーカーと連携し、操作条件の検討や国際比較試験を通じて、流動場分離法の利用において特に重要となる共通パラメーターを整理・選定しました。これにより、測定の再現性と信頼性を確保するための具体的な指針が示され、流動場分離法として初となる本規格の発行につながりました。
本規格は、化粧品や医薬品の品質保証、新素材開発、マイクロ・ナノプラスチックの環境評価など幅広い分野に活用でき、国際取引や規制対応における信頼性向上にもつながります。標準化された評価手法が国際的に共有されることにより、ナノ粒子を用いた研究開発や技術連携がより円滑に進み、ナノテクノロジーの健全な普及と安全・安心な社会の実現に貢献します。
下線部は【用語解説】参照
社会課題の解決
私たちの身近な化粧品や医薬品、食品包装、電子材料には、ナノ粒子が広く利用されています。しかし、液体中に分散したナノ粒子のサイズや構造を正確に測定することは技術的に難しく、安全性評価や品質保証の大きな課題となっていました。
こうした背景の中で注目されるのが、液中のナノ粒子を壊さずに形や大きさごとに分けて分析できる流動場分離法です。流動場分離法は医薬品や化粧品、新素材開発、さらにはマイクロ・ナノプラスチックの環境評価にも応用可能な先進技術ですが、操作条件や装置構成によって結果がばらつくという課題がありました。これを解決するため、国内外の研究者や装置メーカーと長年にわたり連携し、操作条件の最適化や大規模な国際比較試験を実施し、誰がどこで測定しても同じ基準で比較できる、国際的な信頼性を担保する流動場分離法の実践ポイントを整理しました。その成果として、流動場分離法の国際規格を策定し、測定条件や報告項目を明確化させることで、化粧品や医薬品の品質保証、新素材開発、環境評価など幅広い分野で、再現性と比較可能性の高いデータが得られるようになりました。
今回の国際標準化は、高度な技術・装置開発研究と国内外連携の成果であり、流動場分離法の高度な評価技術を社会に普及させ、安全で高品質な製品を安心して利用できる社会の実現に大きく貢献します。
規格発行までの道のり
当初、流動場分離法は高分子や粒子を分子量や大きさで簡易に分ける技術に過ぎませんでした。しかし、液中に分散したナノ粒子をそのまま精密に評価するニーズが高まる中、産総研では国内外の研究者や装置メーカーと連携し、装置開発、操作条件の最適化、関連標準物質の開発、さらには複雑マトリクス中での分離性能検証を長年にわたり積み重ねてきました。特に、米国NIST との協力で運営した新材料および標準に関する国際研究協力プログラムVAMASでの国際比較試験(ILC)には世界20機関以上が参加し、サイズ分布を持つナノ粒子を再現性高く分離・評価するためのキーパラメーターを特定するとともに、その有効性を科学的に実証し、流動場分離法の計測信頼性を国際レベルで確立しました。
このILCで得られた実証データやキーパラメーターの知見を反映する形で、国際整合性と計測信頼性を保証する本規格がNISTと共同で開発され、発行されることとなりました。本規格は流動場分離法として初の国際規格となり、化粧品、医薬品、新素材開発、環境評価など、幅広い分野で信頼性の高いナノ粒子評価を可能にしました。さらに、本規格は欧州CENのナノ材料評価技術指針や米国FDAのRecognized Consensus Standardとして採用され、国際的な評価基盤としても広く認知されています。
今後の予定・波及効果
本規格の発行により、流動場分離法によるナノ粒子評価の国際規格が確立され、化粧品、電子材料、塗料、医薬品などの産業分野で、製品特性に直結する粒子の凝集・分散状態を高精度、かつ、国際同等性を担保した形で評価できるようになります。これにより、品質管理や製品開発の高度化が進むとともに、国際規制や輸出入の際の技術的障壁も低減され、欧州CENや米国FDAでの採用に加え、ASTM Internationalなど応用規格開発にも貢献します。また、本規格を引用した標準文書や導入ガイドの整備により、流動場分離法の初心者や企業技術者が容易に利用できる環境が整い、現場での活用が加速します。さらに、流動場分離法を用いた高度な計測評価に基づくナノ標準物質の整備や、他技術との組み合わせによる新規評価法の開発が進むことで、バイオ・医薬分野を含む応用範囲の拡大と国際的な技術連携の深化が期待されます。
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M107968/202602164157/_prw_PT1fl_f06Tg918.png】
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用語解説
ナノ粒子
1ナノメートル(10億分の1メートル)から100ナノメートルの極めて小さな粒子。化粧品、医薬品、電子材料、食品包装、塗料など幅広い分野で利用されている。
流動場分離法
狭い流路に沿った乱れのない流れ(層流)によって流れるさまざまなサイズの材料が、流れの垂直方向の一定の力場(流れ場や遠心場など)と、材料のサイズに依存した拡散力とのバランスの違いに応じた分離を行う手法を指す。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202602164157-O2-1NX00dmq】
NIST
National Institute of Standards and Technology、米国国立標準技術研究所の略。米国の標準・計測技術を担う政府機関。
VAMAS
日米欧を中心とする各国が参加する国際研究協力プログラム(正式名称:Versailles Project on Advanced Materials and Standards)。新しい材料や技術の標準化を目的に、国際比較試験などを実施している。
国際比較試験(ILC: International Laboratory Comparison)
複数の国際的な研究機関や試験所が同じ試料を測定し、結果を比較する取り組み。計測技術の再現性や信頼性を検証するために行われる。
CEN
European Committee for Standardization(欧州標準化委員会)のことで、フランス語では Comité Européen de Normalisation となり、略称CENはこれに由来する。ヨーロッパで標準化を推進する組織。欧州における規制や技術指針にISO規格を取り入れることで、域内での共通利用を可能にしている。
FDA
Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)の略。米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services, HHS)に属する連邦機関で、医薬品、医療機器、食品、化粧品、タバコ製品などの安全性と有効性を規制・監督する。ISO規格を「認定規格(Recognized Consensus Standard)」として採用することで、国際的な調和を進めている。
ASTM
American Society for Testing and Materialsの略。米国を拠点とする国際的な民間標準化団体で特定の材料や産業分野に特化した規格を策定する。
プレスリリースURL
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20260218/pr20260218.html
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