はじめの1巻:「A−BOUT!」 マガジン久々の本格不良マンガ 自己チュー男の不思議な魅力

市川マサさんが「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中のマンガ「A−BOUT!」1巻の表紙
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市川マサさんが「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中のマンガ「A−BOUT!」1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦め作品を紹介する「はじめの1巻」。今回は、市川マサさんが「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の不良マンガ「A−BOUT!(アバウト!)」(440円)だ。

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 不良たちが集う私立・光嶺高校。生徒たちの徹底した抗争が繰り広げられ、3年まで残れる生徒はわずかというとんでもない学校に、1年生・朝桐真之輔が転校してきた。周りの空気が読めず、人に頭を下げられないという一見、自己中心的な男だが、ずば抜けたパワーと精神力、不思議な魅力を持っていた。そんな彼が転校初日から卒業生と1年生軍団が校門でにらみ合う一発触発の現場に出くわし、巻き込まれるのだった……。

 ◇編集部からのメッセージ 少年マガジン編集部の三浦敏宏さん 「普通の不良マンガとは一味も二味も違う」

 週刊少年マガジンに久々開始の本格(?)不良少年マンガです。「今のマガジンに『バカ強い、すごい男』を主人公として生み出そう!」と、新人作者である市川マサ氏と打ち合わせを重ね、ようやく新連載にこぎ着けた時にはなぜか「すごいバカだけど強い男」が主人公になっていました。不思議です。

 しかしもう後には退けません。主人公・朝桐をさらにすごい男(すごいバカ、ではない)にすべく、現在市川氏と共にガムシャラに連載に取り組んでおります。

 内容は、誰もが恐れる不良校、光嶺高校へ転校してきた朝桐真之輔が繰り広げる、ケンカと友情とギャグの日々が描かれております。ケンカは鬼のように強いが、致命的なまでに「バカ」な男朝桐ですが、マガジン連載中の本編ではようやく仲間もでき始め、1年にとっては絶対的存在である2、3年にも勝負を挑み始めて……と、ここだけ読むとヤンキーマンガの王道のようですね。

 実際は話が横道にそれることが多く、そのギャグ回の方が面白いと言われたりして、もう我々も何を信じてがんばればいいのやら不安になったり……(笑い)。

 仲間となった味のある脇役キャラも充実し、飛び道具のようなギャグもつぎ込まれていて、いわゆる普通の不良マンガとは一味も二味も違う面白さがあると思います。ぜひ一度お手に取って、お楽しみいただければと。よろしくお願い申し上げます!

 ◇書店員の推薦文 徳島・南海ブックス 岡本美紀さん 「強いと思っているから倒れません」

 主人公・朝桐真之輔が、他県にも名をとどろかす不良校・光嶺高校へ転校した初日から物語が始まります。登場人物が不良少年ばかりで、純粋にけんかの強さで争うのはストレートで分かりやすい構図ですね。修羅場の経験の差があっても、最後まで立っているのは「負けたくない」気持ちが強い者で、朝桐は「自分が一番強い」と思っているから倒れません。昨日の敵が今日の仲間になるのも、格好良いからでしょうけど、それを感じさせないセリフが良いですね。周りによく見られたい一心の行動が、意外な結果を生み、意表を突く展開をみせてくれます。ぜひ楽しんでください。

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