89年に「ローマ国際ファンタスティック映画祭」でグランプリを受賞した映画「鉄男」を手がけた塚本晋也監督が、「鉄男」から20年の時を経て完成させたシリーズ第3作「鉄男 THE BULLET MAN」の公開が22日始まった。
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東京の外資系企業に勤める米国人アンソニーの幼い息子が、何者かにひき殺された。誰が、何のために殺したのか? 真相を調べるうちにアンソニーは自分が、父ライドが関与する“鉄男プロジェクト”という恐ろしい計画の実験台になっていたことを知る……という物語。09年9月の「ベネチア国際映画祭」出品後、同年10月にスペインで行われた「シッチェス・カタロニア国際映画祭」で名誉賞を受賞、さらに同月、韓国で行われた「釜山国際映画祭」への出品を経て、今回、ついに日本逆上陸となった。
怒りの感情を持つと肉体が鋼鉄の銃器にトランスフォーム(変身)してしまう主人公は、「鉄男」とシリーズ2作目の「鉄男2/BODY HAMMER」(92年)を踏襲しているが、今作は、続編でもリメークでもない。しかも、これまで主人公は日本の俳優・田口トモロヲさんが演じていたが、今作では初めて、米国人俳優を起用している。
無機質かつ人工的な色彩で描かれた映像の合間に、車輪や拳銃のシリンダー、ビルなどの攻撃的ともいえる物体の映像が、耳をつんざくごう音とともに、シャワーのごとく流れ出す。その中を動き回る人間たちも、彼らが生み出す物語も尋常でないが、底辺に流れるのは「世界を平和に導くのは憎しみではなく愛」というメッセージ。
アンソニーを演じるのは、カナダの大学で演技論を学び、96年に来日後は俳優活動のほか、プロのカメラマンとしても活躍する米国出身のエリック・ボシックさん。ボシックさんは長年、塚本監督の大ファンで今回、塚本監督に見いだされ、主演に抜てきされた。塚本監督は、前2作と同様に謎の男“ヤツ”役で登場し、原作、脚本、撮影、美術、特殊造形、編集も担当。相変わらず多彩ぶりを発揮している。22日からシネマライズ(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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