ヱヴァンゲリヲン:「新劇場版:破」BD売り上げ最高記録の再ブレーク、リアルな世界も

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の「2.22」バージョンの画像 (C)カラー
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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の「2.22」バージョンの画像 (C)カラー

 大ブームを起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」をリメークした劇場版アニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」。5月に発売されたブルーレイディスク(BD)が史上最高売り上げを達成するなど、再ブレークを見せている。

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 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は、95年に放送され、大ブームを起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を元にした新シリーズ。主人公・碇シンジやヒロインの綾波レイら14歳の少年少女が巨大な人型兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとして、謎の生命体「使徒」との過酷な戦いに挑む姿が描かれている。「序」「破」「Q」「?」の全4部作で、07年9月公開の第1作「序」はテレビシリーズ1~6話をベースに製作され、興行収入20億円、DVD約60万枚を売り上げた。

 09年6月に公開された「破」は、新ヒロイン「真希波・マリ・イラストリアス」や新たなエヴァンゲリオン「仮設5号機」などが加わっているのが特徴。前作「序」はテレビシリーズのストーリーを踏襲していたが、新キャラクターや設定の追加に伴い、ストーリーも大幅に変更され、テレビシリーズと全く異なる展開となっている。公開前にストーリーが明かされなかったことも話題となり、公開館数が120館と小規模だったにもかかわらず、興行収入40億円という異例の大ヒットを記録した。

 5月26日に発売された「破」のBD・DVDは、劇場版の「2.0」バージョンから進化させた「2.22」バージョンで、映像に1000カ所以上の修正を加え、全く新しいシーンも追加。映像特典として、「2.22」バージョンに対応したアフレコ用台本や、制作時に没となったカットなども収録されている。また、前作「序」の発売時に一部でプレミア化した生フィルムカットが初回特典として付いている。

 BD、DVDともにオリコン週間ランキング(6月7日付)で初登場1位を獲得。BDは約35万7000枚を売り上げ、「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」(1月27日発売)の累計販売数35万1000枚を1週間で上回り、BDの最高販売記録を打ち立てた。また、DVDでも約28万3000枚を売り上げ、BDとDVDの売上金額の合計でも約39億3000万円と、発売から1週間で劇場版とほぼ同じ金額をたたき出した計算になる。また、特典の生フィルムカットは、人気キャラクターが描かれたものが、ネットオークションで10万円近い高値で取引されている。

 エヴァの世界は、スクリーンを飛び出してリアルなものとしても広がっている。4月には、「第3新東京市」として物語の舞台となった神奈川県箱根町のコンビニエンスストア「ローソン箱根仙石原店」を、「ローソン第3新東京市店」としてオープンさせるイベントを開き、予想をはるかに超えるファンが殺到し、周辺地域への影響もあったことから、予定を前倒しし、わずか3日で終了させた。同町の旧仙石原中学校では、5月8、9日に「第3新東京市上映会」を開催し、約1500人のファンが集まった。

 また、「エヴァンゲリオン初号機」をあしらった“痛車(いたしゃ)”仕様のレーシングカーが、自動車レース「スーパーGT」のGT300クラスに参戦。5月に富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開かれた第3戦で9位完走を果たし、以降のレースにも出走が決まっている。

 夏には新設定や全カット全せりふ、スタッフ独占インタビューなどが収録された2冊組みの資料集も発売され、7月23日には、総工費1億5000万円でシンジが初めてエヴァと出会った第7ケージ(格納庫)を再現したパビリオンが富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)にオープンする。広がるエヴァの世界に今後も目が離せない。(毎日新聞デジタル)

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