注目映画紹介:「恐怖」フィルムの中の白い光から始まる“脳髄狂気ホラー”

映画「恐怖」の1シーン。(C)2009「恐怖」製作委員会
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映画「恐怖」の1シーン。(C)2009「恐怖」製作委員会

 話題のホラー映画「恐怖」(高橋洋監督)が10日公開された。冒頭からモノクロの記録フィルム、集団自殺、隔離病棟での怪実験、幽体離脱といった異様なイメージが錯綜(さくそう)し、普段、何気なく生きている現実というものの常識に疑問を投げかけ、ゾッと身震いするような余韻を残す“脳髄狂気ホラー”だ。

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 「恐怖」は、ハリウッドでリメークされたホラー映画「リング」「呪怨」などを製作した“ジャパニーズホラー”の仕掛け人一瀬隆重プロデューサーが04年から手がける「Jホラーシアター」シリーズの完結編で、人間の感情や思考を司る「脳」をテーマにした複雑怪奇な恐怖の物語。16ミリフィルムの中に出現した不思議な白い光を目撃したみゆきとかおりの姉妹。17年後、死への誘惑に取りつかれてしまった姉・みゆきは失踪(しっそう)し、姉の行方を追うかおりは、禁断の脳実験を繰り返す母親の悦子と再会する。美しき姉妹と狂気の母親を待ち受けていたのは、彼女たちが生きる現実そのものを揺るがす異常な惨劇だった……。かおり役に長編映画初主演となる藤井美菜さん(21)、みゆき役に中村ゆりさん(28)、人体実験に取りつかれた母親役を片平なぎささん(50)が演じる。

 高橋監督は、数々のジャパニーズホラーの脚本を手がけ、「リング」では貞子がテレビモニターからはいずり出てくる仰天のクライマックスを考案したことでも知られており、今作が商業長編映画の初監督となる。かおり役の藤井さんについて高橋監督は「この子には、人を引きつける不思議な魅力がある」と評しており、また「この人はすごい!」と思わずうなったという片平なぎささんの鬼気迫る演技にも注目だ。

 「Jホラーシアター」は、一瀬プロデューサーが日本のホラー界を代表する6人の監督と6本の長編映画を作るという趣旨で04年に始めたプロジェクト。「感染」(落合正幸監督)、「予言」(鶴田法男監督)、「輪廻」(清水崇監督)、「叫」(黒沢清監督)、「怪談」(中田秀夫監督)に続くシリーズ完結編となる「恐怖」は、ライオンズゲートによる世界配給も決定している。10日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開予定。(毎日新聞デジタル)

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