話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、石黒正数さんがメイド喫茶に勤めながら探偵にあこがれる少女の日常を描いた「それでも町は廻っている」(少年画報社)です。ヤングキングアワーズ編集部に作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
−−この作品の魅力は?
数式に当てはめると、商店街+女子高生+メイド喫茶+探偵=嵐山歩鳥(ほとり)の日々。とある下町の商店街に突如出現したメイド喫茶(カフェでなくて喫茶!)「シーサイド」でバイト中の嵐山歩鳥の日常がこの作品の持ち味。推理小説好きが高じて探偵にあこがれる歩鳥の周囲では、いわゆる事件らしい事件は起こりません。……が、商店街の人たち、学校の仲間たちなどのキャラが人間的で、そのやりとりは笑いを誘い、何気ない日常がキョーミ深くなるというわけです。
−−作品が生まれたきっかけは?
石黒先生が以前に住んでいた東京都大田区の商店街の雰囲気と、藤子F先生のSF(少し不思議)的な要素がマッチして作品は生まれました。威勢のいい売り子のかけ声、活気あるストリートと太陽の日差し、揚げ物のにおいなどの日常の普通の生活と、非日常の両方を先生は描きたかったんだと思います。先生はそのバランスを常に気にしていますね。
−−作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変なことは?
先生は、たまに原稿の印刷されない部分に面白落書きをしてくれます。それは、自分と編集部の深夜零時のひそかな楽しみでしたが、あまりにも面白いので、アワーズに特集組んで掲載したのですがこれが大好評。作品原画展を開いた際に、多くの人と楽しみを共有できたのがうれしかったです。つらいのは、たまにですが、校了だからと原稿を奪うときに先生の無念の表情を見る時ですかね。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします
巻を重ねて、変わらぬ雰囲気で作品が進むと思いますが、キャラ一人一人の魅力はますます引き出されていくと思います。例えば、歩鳥は無軌道に見えて、人の価値観を大事にするモラリストなことがわかったりとか。読者の方には、実際に歩鳥がいたらいいな~と思われて、「志村、後ろ~」と突っ込んでもらえる作品になれれば(笑い)。最後に、TBS系でテレビアニメ化が決定していますのでこちらもよろしくお願いします。
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