アンパンマン:“子ども版インフォームドコンセント”を支援 小児医療端末に登場

「スマイルタッチ」を手にした岡村秀樹社長(右)と順天堂大学医学部の田中恭子准教授
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「スマイルタッチ」を手にした岡村秀樹社長(右)と順天堂大学医学部の田中恭子准教授

 アニメ制作会社のトムス・エンタテインメントは5日、アニメ「アンパンマン」「名探偵コナン」など同社制作の人気コンテンツを使って小児医療分野に進出すると発表した。病気や治療の際に子どもの心のケアを行う「プレパレーション」を支援する世界初の端末「スマイルタッチ」を9月から医療機関向けにレンタルする。 

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 「プレパレーション」は、病気や治療、検査について子どもの年齢や理解度に応じた説明を行い、理解を促す「子ども版インフォームドコンセント」で、子どもや家族が治療に取り組む意欲を引き出す手法。大声で泣き出したり、治療を拒否するといった子どものストレスや恐怖心を軽減する手法なども含まれる。欧州では公的な資格制度や専門家も存在している。

 「スマイルタッチ」は、検査の際に子どもにアンパンマンのDVDを見せたいという病院からのメールをきっかけに開発。小児科医約300人へのアンケートを実施し「病気の説明なども盛り込んでほしい」「院内で使用するため、壊れにくく、医療機器に影響を与えるおそれのあるものでは困る」といった意見も収集して開発した。12インチのディスプレーをタッチパネルで操作する充電式で、消毒することが多い院内での使用に合わせ、アルコールに強い素材を使用しているほか、専用のUSBでコンテンツを更新することもできる。

 知育に関する「アンパンマン」のオリジナルアニメや、「名探偵コナン」が登場するこども百科事典などに加え、絵本の読み聞かせ、「点滴頑張ろう」「予防接種にいきましょう」などのタイトルでオリジナルキャラクターを使った専用の医療コンテンツなど5~10分のものを約70話11時間分を収録している。レンタル制で初期登録料金が9800円、月額利用料金が9800円で、料金を割引した年間サービスも設ける。

 発表会に登場した同社の岡村秀樹社長は「アニメを見ていただくものから使っていただくものにして、コンテンツのプラットホーム化を図っていきたい」と意気込みを語り、アンパンマンの作者やなせたかしさんは「子どもたちに勇気を与えるアンパンマンには無限の力があると信じている。病気の子どもは、大人が想像できないほど不安を感じているが、アニメの力は小児医療に欠かせない存在になるはず。アニメを通じて小児医療がより良いものになればと心から願っています」とビデオでコメントを寄せた。(毎日新聞デジタル)

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