筧利夫:「つかこうへい祭りだと思って」 追悼公演「広島に原爆を落とす日」会見

つかこうへいさんの追悼公演「広島に原爆を落とす日」で取材に応じた筧利夫さん
1 / 1
つかこうへいさんの追悼公演「広島に原爆を落とす日」で取材に応じた筧利夫さん

 肺がんのため7月10日に死去した演出家・つかこうへいさん(享年62)の追悼公演「広島に原爆を落とす日」が6日、「Bunkamura シアターコクーン」(東京都渋谷区)で初日を迎え、公演前の公開舞台けいこ後に主演の筧利夫さん(47)と共演者らが取材に応じた。90~94年につかさん作・演出の「飛龍伝」の山崎一平役を演じ、その後「つかこうへいダブルス」と銘打った「幕末純情伝」などに出演した筧さんは、この公演について「“つかこうへい祭り”だと思ってやります。劇場一丸となってコクーン、渋谷が“つかこうへい祭り”になるように頑張っていきたい」と決意を示した。

ウナギノボリ

 「広島に原爆を落とす日」は、つかさんにより、79年に風間杜夫さん主演で西武劇場(現パルコ劇場)で上演され、86年に文芸誌「野性時代」で小説として発表された。何度かの上演を重ねており、今回は広島出身で被爆2世の演出家・岡村俊一さんが演出を手がける。

 舞台は、太平洋戦争開戦の1941年と現在の2010年の日本が交錯して演じられる。現代の広島で、外務省の密約文書を調べて殺人事件の罪を着せられ、広島刑務所に収監された新聞記者の山崎(筧さん)が釈放された。山崎は外務省勤務の女性に原爆投下の真実を突き止めるよう依頼される……というストーリー。筧さんは海軍少佐との二役を演じる。つかさんは、同公演の出演者らが集まった顔合わせの会が行われた日に亡くなった。

 筧さんは「(つかさんは)亡くなっていないような気がしている。ロシアあたりで演出をしてるんじゃないかな。この劇場にいるんじゃないか。楽屋に来るかも」と口にし、つかさんは今回の公演を見て何と言うかと問われ「次に(舞台に)出るときズボンを下ろして(ヒロイン・百合子役の)仲間さんを襲えって言われるかも。そういうことよく言うんです。本番中に突然言われたりする」とジョークを交え思い出を語った。また演出家の岡村さんは、つかさんの死去により、演出を変更したことを明かし、「つかさんの一番印象深い演出を詰め込んだ。“つかこうへい夏のお中元詰め合わせ”みたい。マニアの方がいらしたら、間違いなくつかさんの公演だと(思ってもらえる)」とコメントした。

 筧さんは「今回は(自分の役を)つかさんだと思ってやっている」とコメント。同公演の筧さんの最後のせりふは「黙とう」で、これは最近になって岡村さんの発案で変更されたという。筧さんは「(つかさんの遺志で)“お別れの会”をやらないが、やってもらいたいという人もいる。(この舞台は)そういう会でもあると思い、(そのせりふを)入れました」と明かし、岡村さんは「(公演初日の)6日が広島に原爆が落とされた日であることも(理由に)ある。見た人があれどういう意味だったんだろうと思ってもらえれば」と話した。

 会見には仲間さん、外務省特務課を名乗る今日子役の山口紗弥加さん(30)も出席。舞台には“グラビア界の黒船”とうたわれたタレントのリア・ディゾンさん(23)も出演する。公演は「Bunkamura シアターコクーン」で22日まで。森ノ宮ピロティホール(大阪市中央区)で27~29日に上演。(毎日新聞デジタル)

芸能 最新記事