「かもめ食堂」の荻上直子監督の最新作「トイレット」公開記念イベントが12日、カナダ大使館(東京都港区)であり、荻上監督と「トイレの神様」がヒット中の歌手の植村花菜さんがトークイベントを開いた。試写会のイベントに参加するのは初だという植村さんはカナダといえば?と問われて「私はヘビメタバンドのイメージが強いです。あとはメープルシロップですね」と答えて笑わせ、「ほんまに面白くてすてきな映画。見終わった後にああ、いい映画だったなと一人で思いました。心が温まる、家族っていいなって思える映画です」と絶賛した。
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「トイレット」は、引きこもりのピアニストのモーリー、ロボットオタクのレイ、大学生のリサ、そして生前3人の母親が日本から呼んだ祖母のばーちゃん(もたいまさこさん)が同居している。ばーちゃんは英語は通じず、トイレが異常に長くて、外に出てくる度に深いため息をついて、部屋に出てこない。4人に小さな出来事が次々と起こり、バラバラだった3兄妹とばーちゃんの絆(きずな)が深まっていく……という物語。もたいさん以外のキャストは全員カナダ人で、全編カナダで撮影された。
荻上監督は「カナダの人たちはいい人たちで、つたない英語を聞いてくれて楽しい現場でした。20代前半にロスに留学していて、いつか北米の映画を作りたいと10年間思っていてやっとかないました。古い家並みが並んでいてすてきな街でした。半年間住んでいて、最後冬には寒くて酒ばっかり飲んでいました」と撮影を振り返った。
植村さんは、亡き祖母への思いを込めた曲「トイレの神様」がラジオで話題を呼び、有線リクエストランキングで10週連続で10位以内にランクイン。同曲が収録されたミニアルバム「わたしのかけらたち」はこれまで10万枚以上を売り上げており、「トイレ」と「おばあちゃん」というキーワードが偶然にも重なり、今回のイベントが実現した。荻上監督は「別の世界の映像が浮かんでくるような、感動して涙できる歌だと思います」と植村さんの歌を絶賛した。植村さんは「私の歌は実話の話なので、祖母と2人で暮らしていてそのいろんな思いを歌にしたもの。祖母と一緒に暮らし始めてすぐ、気立てのいい花嫁さんになりたくて、ずっと手伝いをしていたんですけど、どうしてもトイレ掃除だけがやりたくなくて、祖母にはトイレ掃除をするとトイレの女神様みたいにべっぴんさんになれるといわれて、べっぴんさんになりたい一心できれいにしました。一つのことを信じてやり続けていく気持ちはおばあちゃんから健康運とか金運も上がるので、して悪いことないのでぜひ掃除してください」と呼びかけた。
イベントでは植村さんが「トイレの神様」を披露し、観客は大喜びだった。カナダ観光局などでは、撮影地トロントの魅力を映画を切り口に紹介する「トロントスペシャルプロモーション」を実施している。映画は28日から全国で公開。(毎日新聞デジタル)
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