注目映画紹介:「ヤギと男と男と壁と」 米軍に実在した?超能力部隊を名優が大まじめに演じた

「ヤギと男と男と壁と」の一場面。(c) 2009 Westgate Film Services,LLC.All Rights Reserved.
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「ヤギと男と男と壁と」の一場面。(c) 2009 Westgate Film Services,LLC.All Rights Reserved.

 ジョージ・クルーニーさんとユアン・マクレガーさんの2大スターが共演する一風変わった戦争コメディー「ヤギと男と男と壁と」(グラント・ヘスロブ監督)が14日から全国で順次公開される。コメディー作品だけに、戦争ものだからといって深刻ぶった話ではない。イラク戦争の最前線へと向かうジャーナリストが、超能力を持つ男と砂漠地帯に分け入っていくという、うさん臭く、暑苦しい内容だ。

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 新聞記者のボブ・ウィルトン(マクレガーさん)は、離婚による痛手から逃れるためにイラク戦地へと向かう。その途上で出会ったのが、リン・キャシディ(クルーニーさん)。かつて、「軍で2番目に有能な超能力者」とうわさされたリンに好奇心をかきたてられたボブは、リンと同行することに。それはボブにとって、未知の体験の幕開けだった……というストーリー。

 クルーニ−さんが出演する映画は、硬派な社会派と、難解だが面白いと称賛されるブラックユーモア路線と両極端だ。前者が「フィクサー」(07年)や「グッドナイト&グッドラック」(05年)だとしたら、後者は「スリー・キングス」(99年)や「オー・ブラザー!」(00年)で、今作は間違いなく後者の部類に入る。

 米軍が、冷戦時代からイラク戦争にいたるまでに超能力を軍事利用していたという驚愕(きょうがく)の事実(?)を、関係者に取材してまとめたジョン・ロンスンさんのルポルタージュ「実録・アメリカ超能力部隊」を基にストーリーをまとめた。壁抜けや“キラキラ眼力”といった信じられないような技が登場し、“新地球軍”なる秘密部隊に所属していたリンが、「スター・ウォーズ」新3部作で「ジェダイの騎士」を演じたマクレガーさんが演じるボブに、「ジェダイ計画」なるものをとうとうと語るなど、人を食った設定が笑いをもたらす。

 オスカー俳優のケビン・スペイシーさんや、「クレイジー・ハート」(09年)でのアカデミー賞主演男優賞が記憶に新しいジェフ・ブリッジスさんらがキャストに名を連ねる。テーマははちゃめちゃでキャストの豪華さばかりが目を引くが、演技派俳優がしょうもない話を大まじめに演じた、そのアンバランスさが小気味いい。邦題はお笑いコンビ「千原兄弟」の千原ジュニアさんが名付けた。14日からシネセゾン渋谷(東京都渋谷区)、シネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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