注目映画紹介:「七瀬ふたたび」芦名星の凜とした表情が特殊な能力を持つ七瀬の孤独を際立たせる

映画「七瀬ふたたび」の一場面 (C)2010「七瀬ふたたび」製作委員会
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映画「七瀬ふたたび」の一場面 (C)2010「七瀬ふたたび」製作委員会

 なぜだろう。筒井康隆氏の原作ものは、「時をかける少女」といい、この「七瀬ふたたび」といい、何度映像化されてもいいものだ。筒井康隆さんの作家生活50周年記念作品「七瀬ふたたび」(小中和哉監督)が2日に全国で公開される。七瀬役に芦名星さんを迎えて、闘うカッコいい姿でみせてくれる。

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 「七瀬ふたたび」は筒井さんの「七瀬3部作」(「家族八景」「七瀬ふたたび」「エディプスの恋人」の中でも中心となる作品。人の心が読める能力「テレパス」を持つ七瀬(芦名さん)は、同じテレパスの少年ノリオ(今井悠貴さん)とテレキネシス(念動力)を持つ青年ヘンリー(ダンテ・カーヴァーさん)と北海道でひっそりと暮らしていた。時折海外のカジノに出かけて生活費を稼いでいたが、マカオで知り合った瑠璃(前田愛さん)と一緒に帰国するとき、何者かに命を狙われていることに気づいた七瀬は、狙撃手から逃れて、都内のホテルに泊まることにする。一方、変死体が見つかった現場のエレベーター内の防犯カメラに映っていた七瀬を警察がマーク。予知能力者の了(田中圭さん)が七瀬を心配し、電話で「瑠璃と離れるな」と忠告してくる。そして、了の忠告に従ってタイムトラベラーの藤子(佐藤江梨子さん)をたずねるが……というストーリー。

 芦名さんの意志が強そうな目と、ツヤのある声が印象に残る。闘うことがまるで天命かのような凜(りん)とした表情は、特殊な能力を持つ七瀬の孤独を際立たせることに成功している。七瀬は同じような能力を持つ仲間のリーダーとして、超能力者を異分子として抹殺しようとする国家と対決する。悲しみが宿る闘う七瀬の姿は美しい……。

 「ウルトラマン」シリーズなど多くの作品を手掛ける小中和哉監督が手がけた。小中監督は「闘う少女」を描くのが得意なのだろうか。細かな絵コンテに基づき、SFXを使用、CGや文字、アニメーションを駆使して未来感を出した。念力で敵の頭をつぶすシーンでは、80年代の特殊メークがはやり始めたころのイメージを再現したいと考え、あえて特殊メークを使用したという。通好みのこだわりで作られているこの映画で、中でも異彩を放って見えたのが、前田さんの衣装だ。みんな地味めな色合いだったのに、なぜ彼女だけ、藤子・F・不二雄作品の未来人みたいなファッションだったのだろうか……。2日からシネ・リーブル池袋(東京都豊島区)、シアターN渋谷(東京都渋谷区)ほか全国でロードショー。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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