年末商戦を前に、21日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「プレイステーション3」用の新型コントローラー「Move」(5980円)が、11月20日にマイクロソフト(MS)の「Xbox360」の新型周辺機器「キネクト」(1万4800円)が発売される。いずれも体感型のコントローラーで、トップを走る任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」との差を縮めることができるか、注目してみた。(毎日新聞デジタル)
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SCEの体感コントローラー「Move」は、長さ約20センチのコントローラーの先端にある「スフィア」というピンポン玉のような光る球の動きを、USBカメラ「プレイステーションEye」が読み取り、テレビにCGを映し出して遊ぶ。専用ゲームの一つ「TVスーパースター」では、ゲームのキャラクターがモデルのようにポーズを取り、その動きに合わせて「Move」を上下左右に動かす。そのタイミング、スピードで得点が変わる。
MSの「キネクト」は、従来のゲーム機のようなコントローラーを持たず、カメラを備えた機器のセンサーが人を認識。カメラの前で体を動かすなどしてゲームを操作する。専用ソフト「キネクトスポーツ」の一つ「ビーチバレー」では、手に何も持たずテレビの前に立ち、画面のボールが飛んでくれば、手を前に出してレシーブをして、飛び跳ねてアタックをする……。遊ぶ人が、飛んだり跳ねたりするので、観客の目を引くのもポイントだ。
「Move」の強みは、10年以上ゲーム市場を引っ張ってきた「ソニー」と「プレイステーション」のブランドだ。だがテレビリモコンのような端末を振り回す発想は、Wiiと同じ。後発の利を生かし、状況に応じて「スフィア」の色を変えて「Move」の速い動きをカメラが認識できるが、インパクトでは「キネクト」に劣る。だがゲーム機のヒットは、技術や独自性でなく、面白いゲームソフトがあるかで、緻密(ちみつ)なグラフィックを武器に、ライバルにないソフトを送り込めるかがポイントだ。
「キネクト」は、従来のゲーム機にない独自性が魅力で、欧米でのヒットは確実視されている。コナミデジタルエンタテインメントの大ヒット音楽ゲーム「ダンスダンスレボリューション」の開発チームが手掛けたダンスゲーム「ダンスエボリューション」は、関係者の間では評価が非常に高い。だがXbox360の販売数は日本では136万台で、PS3の553万台(エンターブレイン調べ)に比べ少ないのが課題だ。
エンターブレインの浜村弘一社長は、二つの新型周辺機器について「年末に一気に売れるわけではない。海外ではヒットするだろうし、大型タイトルもあるが、日本で出るのは後の話。専用タイトルが増えるのもこれから」と話している。
任天堂が、テニスなどのスポーツを体感できる「Wiiスポーツ」や、健康ゲームの「Wiiフィット」で、従来なかった非ゲーム層を取り込み、一時はゲーム人口の拡大に成功した。しかし取り込んだ新規層を、本格的なゲームに取り込む点については、“壁”に突き当たっており、大手メーカーが制作したWiiの人気タイトルの販売数が予想より伸び悩んでいる。
逆に本格的なゲームを求めるユーザーが多い、PS3とXbox360で、Wiiのように、非ゲーム層へ提案できるようなソフトを送り出せるかが、ポイントとなりそうだ。
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