包括業務提携を28日発表した「ドワンゴ」と「角川グループホールディングス」。SHIBUYA-AX(東京都渋谷区)で開かれた会見に現れた角川歴彦・角川グループホールディングス会長は「初音ミクを(角川グループのアスキー・メディアワークスのIT情報誌)『週刊アスキー』の表紙にしたら、俳優を載せたときと同じくらい反響があった。ニコ動と週アスの読者は相性がいいと感じた。『ニュータイプ』や『コンプティーク』もお客さんが重なっている。そこで業務提携できないかとお願いした」と角川側から提携を持ちかけたことを明かした。直前、同じ場所であったイベント「ニコニコ大会議(秋)」のステージに現れた角川会長はニコ動のユーザーで埋め尽くされた会場に向けて「業務提携を喜んでもらいたいと思います」と呼びかけた。
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会見には角川会長とドワンゴの川上量生(のぶお)会長、夏野剛取締役が出席。夏野取締役は「角川さんがここまで(ニコ動に)踏み込んでいただけることが、一つのいいプロトタイプをコンテンツ業界に投げかけられるのではないか。既存のコンテンツ産業の中に新しいプラットホームがとけ込んでいく、融合の先駆けになるんじゃないかと思っている」と期待を寄せた。
提携内容は、角川グループが11年4月から展開する電子書籍などのコンテンツ配信プラットフォーム「Book☆Walker」で購入した電子書籍の一部を、ニコニコ動画で提供する電子書籍ビューワで閲覧可能にする。また、ニコ動内に角川グループの公式チャンネルを設置。ニコ動オリジナルアニメの制作・配信や、ニコ動で活躍するクリエーターを発掘、育成し、角川グループで書籍・コミックでの出版や、映画・アニメでの映像化へつなげていく。ほかに、角川グループが発行するゲーム雑誌とゲーム発売前夜祭イベントを開催、その模様をニコ動で配信する。
両社とも今回の提携では特に電子書籍に期待を寄せており、角川会長は「1890万人といわれるニコ動の登録者数と間口の広さに期待している。いろんな人が(角川グループが発行するライトノベルなどの出版物を)買ってもらって、見てもらうことができる」といい、夏野取締役も「ニコ動にはイラストが流れる『ニコニコ静画』もあるし、コメントを見ながら読んだり、見たりする共有体験ができる。プラスアルファの付加価値でテキストを面白く見せることができる。またブラウザさえあれば見られるというエントリーしやすさは(今回の提携において)ニコ動が貢献できるところだと思う」と応えた。
ドワンゴ創業者の川上会長は「アジアでは日本語を習っている人がみんなニコ動を見ている。ニコ動は日本文化を送り出す大きなソースになっている」と語り、アジア進出でニコ動と角川の思惑が合致したことを明かした。角川会長は「ニコ動さんと話していると、電子書籍にはこんな可能性がある、とアイデアがどんどん出てくる。(今回の提携で)本の楽しみ方が変わるのではないか」と展望を語った。
また、この日のイベントではニコ動のトップページが29日に「ニコニコ動画(原宿)」に変更されることや、12月には東京・原宿に「ニコニコ生放送」用スタジオ兼ショップ「ニコニコ本社」をオープンすることを発表。角川会長はアニメ「ストライクウィッチーズ」の劇場版の公開が決定したことを発表した。(毎日新聞デジタル)
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