文化庁メディア芸術祭:大賞にアニメ「四畳半神話大系」、マンガ「ヒストリエ」

「第14回文化庁メディア芸術祭」アニメーション部門の大賞に選ばれたアニメ「四畳半神話大系」のメーンビジュアル イラスト:中村佑介 (c)四畳半主義者の会
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「第14回文化庁メディア芸術祭」アニメーション部門の大賞に選ばれたアニメ「四畳半神話大系」のメーンビジュアル イラスト:中村佑介 (c)四畳半主義者の会

 ゲームやアニメ、マンガ、アートなどの優れた作品を顕彰する「第14回文化庁メディア芸術祭」(同実行委員会主催)の受賞作品がこのほど発表され、アニメーション部門では、テレビアニメ「四畳半神話大系」(湯浅政明監督)が、マンガ部門では「ヒストリエ」(岩明均さん)が大賞に選ばれた。

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 文化庁メディア芸術祭はゲームやアニメ、マンガ、アートといった「メディア芸術」の優れた作品を顕彰するもので、文化庁、国立新美術館、CG-ARTS協会からなる実行委員会の主催。今年度はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に世界49カ国・地域から過去最多となる2645作品の応募があった。

 「四畳半神話大系」は、京都の大学でバラ色のキャンパスライフを夢見ていたが、実りの少ない2年間を過ごし、1回生からやり直したいと願っていた「私」がある日、不思議な並行世界(パラレルワールド)に迷い込み、さまざまな体験をするという青春ファンタジー。「夜は短し歩けよ乙女」などでも知られる作家、森見登美彦さんの小説を初めてアニメ化し、湯浅監督の下に人気イラストレーターの中村佑介さんがアニメキャラクター、京都を中心に活躍する「劇団ヨーロッパ企画」の上田誠さんがアニメ脚本にそれぞれ初挑戦し、劇場版アニメ「サマーウォーズ」のマッドハウスが制作を手がけ、フジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送。同作は「京都の景観を入念に取材した上で、独特のデフォルメを施した空間とキャラクターの動きがある絵に、饒舌(じょうぜつ)なモノローグを重ねた地下(じげ)のある映像を完成させている」などと評価された。

 「ヒストリエ」は、「寄生獣」の岩明さんが「アフタヌーン」(講談社)で03年から連載している人気マンガ。紀元前の古代オリエント世界を舞台に、後にアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの波乱に満ちた生涯を描く歴史大作で、岩明さんがデビュー以前から温めていたという作品。「この作者特有の、いつ誰が死ぬとも分からないドキドキ加減、突き放したような明るさと残酷さとが本作品でも全編を豊かに彩り、面白いの一語に尽きる」などとして大賞に選ばれた。

 アート部門では、5メートルの動くアームを持つ巨大な音響彫刻「Cycloid-E」(ミシェル・デコステールさん、アンドレ・デコステールさん<コッドアクト>)、エンターテインメント部門では、「ツイッター」のフォロワーがキャラクターとなってパレードするau「ISシリーズ」のプロモーションサイト「IS Parade」(林智彦さん、千房けん輔さん、小山智彦さん)が大賞となった。また、数多くのマンガ家を育てるとともに、マンガの新しい領域を開拓し、マンガによる国際交流を推し進めたとして、マンガ編集者の栗原良幸さんが功労賞に選ばれた。

 授賞式は11年2月1日、受賞作品などを無料展示する「第14回文化庁メディア芸術祭」は11年2月2~13日に、ともに東京・六本木の国立新美術館と東京ミッドタウンで行われる。(毎日新聞デジタル)

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