山田洋次監督:寅さん少年時代描いた初小説「けっこう毛だらけ」を連載

初小説「けっこう毛だらけ」の連載を発表した山田洋次監督
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初小説「けっこう毛だらけ」の連載を発表した山田洋次監督

 渥美清さん主演の国民的映画「男はつらいよ」シリーズを分冊雑誌(パートワーク)化した「男はつらいよ 寅さんDVDマガジン」(講談社)の創刊発表記者会見が5日、東京都内で行われ、寅さんの少年時代を描いた山田洋次監督の初小説「けっこう毛だらけ」が同マガジンで連載されることが発表された。会見には山田監督と倍賞千恵子さんらが出席し、山田監督は「不思議な気持ちがしています。寅さんの新作を発表するような気持ち。寅さんをもう一度見直して、さんざん腹を抱えて笑った後に、家族について考えるきっかけになればいいなと思っています」としみじみ語った。

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 小説は寅さんの一人語りのスタイルを取るといい、山田監督は「脚本はずいぶん書きましたけど、小説はずいぶん違うジャンルなので困りましたし、緊張しました。寅さんの少年時代から思春期、家を飛び出してからのことも時折混ぜたい。旅先でどんなことがあったのか。かなりつらい思いも、さくらにも言えないようなみっともないことやひどいこともしたんじゃないか。そんなことがちらっとでも臭うといいんじゃないかなと思っています」と意気込みを語った。

 小説の映画化については「松竹では何年も前から“エピソード1”の企画は挙がっていて、ぼくも面白いと思うわけですけどいろいろと問題がある。いまひとつ踏み出せないでいますけど、やりたいという気持ちはぼくの中にあります」と思いを明かし、キャスティングについて聞かれると「そこまでは考えていません。一番難しいのが寅次郎の少年を誰がやるかということ。どうやって見つけたらいいのか。大変だと思う」と説明した。

 渥美さん演じる車寅次郎の妹、さくらを演じた倍賞さんは「山田さんの原稿を読みながら涙を出しながら読ませていただきました。面白くて胸に刺さるものがあって、とてもすてきだなあと思いました」と語り、「私は『男はつらいよ』という映画、48作を通して世間とか社会を勉強させてもらった。人間を見る目も学ばせていただいた。なんだかお兄ちゃんが『初心に戻れよ』と言ってくれてるんじゃないかと思っています」と感慨深げに話していた。

 DVDマガジンは山田さんの映画監督50周年記念企画第1弾。DVDにはシリーズ48作に特別編とテレビドラマ版を加えた全50作のほか、立川志らくさんの解説や特典映像も収録。山田さんが初めて手がける小説「小説・寅さんの少年時代 けっこう毛だらけ」が連載され、映画公開時の復刻ポスター毎号付録についてくる。創刊号と2号には山田監督の、3、4号には倍賞さんのスペシャルインタビューも収録される。全50巻で、創刊号は特別価格790円(通常号は1590円)で6日発売。2号以降は隔週火曜に全国の書店で発売予定。(毎日新聞デジタル) 

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