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ソーシャル・ネットワーク:脚本家に聞く「映画館を借り切って社員全員に見せたようだ」

映画
10年10月、「ソーシャル・ネットワーク」が東京国際映画祭に出品された際に来日したアーロン・ソーキンさん

 会員5億人を抱える世界最大のSNS「facebook(フェースブック)」。その誕生の内幕を描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」(デビッド・フィンチャー監督)が15日に全国で公開された。10年度の米アカデミー賞最有力候補の呼び声が高く、また、アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデングローブ賞では作品賞、監督賞、脚本賞など6部門でノミネートされている。脚本は、米国で99年から7年間にわたって放送された人気政治ドラマ「ザ・ホワイトハウス」の脚本を担当したアーロン・ソーキンさん。昨年来日したソーキンさんに作品について話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 「フェースブック」の始まりは04年、当時ハーバード大の学生だったマーク・ザッカーバーグさんが、学生名簿代わりに作ったウェブサイトだった。今作は、その立ち上げの経緯とともに、やがてザッカーバーグさんが裁判ざたに巻き込まれていく様子が描かれている。ソーキンさんはこれまで、ドラマ「ザ・ホワイトハウス」や、最近ではトム・ハンクスさん主演の映画「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」など政治的、社会的な作品を好んで手掛けてきた。今回の仕事を引き受けたのは、「友情や忠誠心、権力、嫉妬(しっと)といった古くから語り継がれているものが、現代的な舞台で展開していくから」だった。

 映画化の発端は、原作本「facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」(青志社)の著者ベン・メズリックさんが出版社向けに書いた14ページの企画書だった。それを読んだ出版社の人間がハリウッドに映画化を持ちかけ、その後、ソーキンさんのところに企画が持ち込まれ、メズリックさんが小説を書き進めるのとほぼ同時に脚本も書き進められていった。小説と脚本の同時進行は、「非常にめずらしい」とソーキンさんは振り返る。「私自身は、(映画会社の)ソニー・ピクチャーズから、原作が完成して1年くらいたってから、あるいは、まだベンが書き始めていなかったから、せめて彼が書き始めてから着手するものだと思っていました」と、ハリウッドの動きの速さに驚きを隠さない。

 ソーキンさんは脚本を書くにあたって、取材でフェースブック上で知り合った「3ダース(36人)ほどの人」に会った。フェースブック愛用者ではなかったが、映画のリサーチのためにメンバーになった。ただ、創始者のザッカーバーグさん本人には「取材を申し込みましたが、最終的には断られました」。それでよかったと思っている。なぜなら「もし、マーク(・ザッカーバーグさん)が取材に応じていたら、映画公開前に作品を見せてほしいと言ったでしょう。それはできない相談でしたし、映画としての自立性を持たせるためには、彼がかかわらなくてよかったのです」と前向きにとらえることにした。

 だが、そうはいってもザッカーバーグさんをはじめとする、今作に登場するモデルとなった人々の反応は気になるところだ。このインタビューの翌日には会見が行われ、ソーキンさんはマーク役のジェシー・アイゼンバーグさんと出席。そこでソーキンさんは「フェースブック」をザッカーバーグさんと作り出したエドワルド・サベリンさんからの要請で極秘にプライベート試写を行ったことを打ち明け、また、昨年10月の米国公開の際には、「マークは映画館を借り切って社員全員に見せ、そのあと飲みに連れて行ったようだ」とザッカーバーグさんの“太っ腹”な性格をたたえた。

 その話を聞いて主演のアイゼンバーグさんは、いとこが「フェースブック」の社員であることを明かし、「その上映会のあと、いとこから聞いた話では、マークが僕の演技について『なかなか良かった』と言っていたということでした。僕は、作品全体に対する感想を知りたかったんだけど、『ナイスジョブ』としか言ってもらえなかった」とちょっと残念そうな表情を浮かべていた。

 ザッカーバーグさんの感想はさておき、今作はすっきりとしたラストシーンは望めない。そのラストに込めたメッセージをソーキンさんは、「いくつか(心の中に思うことは)あることにはありますが、言いたくありません。なぜなら、観客のみなさんには自分なりの結論を出してほしいし、どの結論も正しいのですから」と、劇場で見る人に先入観を与えないよう配慮したコメントを寄せた。「ソーシャル・ネットワーク」は15日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。

 <アーロン・ソーキンさんのプロフィル>

 1961年、米ニューヨーク生まれ。シラキュース大で演劇を専攻し、83年に美術学士号を取得した。28歳のときに手がけた軍事法廷サスペンスの舞台公演「ア・フュー・グッドメン」がブロードウェーで上演され、92年に映画化されると作品賞など米アカデミー賞4部門でノミネートされた。脚本を担当した人気ドラマ「ザ・ホワイトハウス」(99~06年)は、エミー賞ドラマシリーズ賞やゴールデングローブ賞などを受賞。その他、手がけた映画は「アメリカン・プレジデント」(95年)、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」(07年)などがある。

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