女優の相武紗季さんと、「EXILE」のMAKIDAIこと眞木大輔さん、俳優の塚本高史さんのトリプル主演で昨年9月に公開された映画「恋するナポリタン~世界で一番おいしい愛され方」(村谷嘉則監督)のDVD(日活・ハピネット)が7日に発売された。映画の中で相武さんは2人の男性の間で揺れ動く等身大の女性を演じ、「揺れる気持ちはいろんな人に共感してもらえると思うし、最後の選択は理解できる気がしました」という。相武さんが役に込めた思いやDVDならではの見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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映画は、主人公の佐藤瑠璃(相武さん)が恋人で一流イタリア料理店オーナーの水沢譲治(市川亀治郎さん)にプロポーズの返事をしようと決めた夜、瑠璃に思いを寄せていた幼なじみのイタリアンシェフの田中武(塚本さん)が、ピアニストの槇原佑樹(眞木さん)とのアクシデントに巻き込まれる。奇跡的に助かった佑樹だが、それまでの記憶をなくして代わりに武の記憶が宿り、瑠璃との思い出の料理を作るようになる。武の言葉を代弁するかのように振る舞う佑樹に、瑠璃の気持ちは譲治がいながらも揺れる……というラブストーリー。
−−台本の段階で相武さんが演じた瑠璃はどういう人だと解釈しましたか。
すごく難しい子だなと思いました。瑠璃ちゃんのチョイスとか生き方ってやり過ぎてしまうと女性から反感を買うなと。ちょっとおいしい生き方をし過ぎで、自分に都合のいい選択をし過ぎていて、最初に台本をいただいたときは、ちょっとこの子自身にも問題があるんじゃないのって思いながら読んでいたんですけど、でも、演じてみると気持ちが分かって、第三者はなんでそんなことがと思うようなことが当事者には大切にし過ぎて崩せないところがあったり、自分の幸せを追い求めて生きていくのがすごくその子にとって難しい選択だったり、いろんな犠牲を払った上での選択だったり、きれいごとだけではないというのが、演じながら分かってきたような気がしました。
−−最も共感したのはどういうところでしたか。
台本を読んだときはそう思わなかったんですけど、武じゃなく、最後に水沢さんを選ぶ気持ちとか、そういう揺れる気持ちはいろんな人に共感してもらえると思うし、私自身も演じてみて、最後の選択は理解できる気がしました。
−−なぜ水沢さんを選んだと思いますか。
武は「悲しいときには笑って過ごした方がいい」、水沢さんは「悲しいときには泣いていいんだよ」っていってくれる人で、瑠璃が求める安らぎとか、家庭を作って上では自分のことすべてを受け止めてくれる人というか、一緒にがむしゃらに頑張るんじゃなくて、もろくなったときに支えてくれる人が一緒にいられる人という気持ちは、瑠璃の立場になったら分かるし、女性にもそういう部分で共感していただけるんじゃないかなと思います。
−−瑠璃には、年上で頼れる、心が広い人がいい?
瑠璃は生い立ちによって、悲しい、寂しいという気持ちが根底にある女の子なので、そに気持ちをくんで一緒にいてくれる存在は彼女にとって大きいんじゃないかな。
−−撮影中は塚本さん、眞木さん、亀治郎さんなどそれぞれ個性的な種類の違うイケメンに囲まれたと思いますけど、どの男性がタイプですか。
すべての人が魅力的で、塚本さんは初共演だったんですけど、壁がない方で初めてのシーンでもすんなりと幼なじみの役を演じることができたり、バーンって当たってもはね返してくれるような方で、カッコいいなと思いました。眞木さんは以前共演したこともあって、一緒にいても落ち着くというか、レディーファーストでみんなに優しくてすごくチーム間の仲とかコミュニケーションを大事にする方で、槇木さんに引っ張っていってもらう部分もあったりしてすごく救われました。亀治郎さんは不思議な魅力を持った方で、きれいな夜景の見える港で自作の歌を歌われたりするんです。ときにチャーミングな面白い話をしてくださったりしてめちゃめちゃカッコいい。皆さんそれぞれにカッコいい部分があって選べないですね。瑠璃の迷う気持ちが分かりました。
−−相武さん自身、こんなふうに引きずっている恋はありますか?
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ないですね(笑い)。あんな繊細なハートは私にはないと思いながら瑠璃を演じてたんです。なので、もうこの作品で繊細な女の子の感情とか微妙な揺れ動きみたいなものを学んだ気がしました。自分とまた全然違った女の子だったので、勉強になった部分がありましたね。
−−相武さん自身の初恋の思い出は?
同じ男の子に、幼稚園から小学校低学年までずっとチョコレートをあげていて、あるとき、小学校2年生くらいだったんですけど、その男の子に彼女ができて、私はチョコをあげるだけで精いっぱいだったからガビーンとなって、その恋はあきらめました(笑い)。
−−いっぱいおいしそうなイタリア料理が出てきましたが、実際に食べてどれが一番おいしかったですか。
全部おいしかったんですけど、実際に家で作ったのが玄米リゾット(かゆ)ですね。これはすごくおいしかったです。私、おかゆが苦手だったんですけど、白米より玄米のおかゆの方が断然おいしくて。家でおかゆを作るときは玄米にしています。
−−イタリアはお好きな国ですよね。演じる上でイタリア旅行を生かせた部分はありましたか。
最後にイタリア語を話すシーンがあったんですけど、現地の人がイタリア語を話しているのを聞いていたからということもあって、なじみやすかったというか、覚えやすくて、すごく助かりました。イントネーションがまだ耳に残っている時期だったので。
−−DVDで発売されるということで何度も見られますし、気になったシーンをもう1回見返したりすることができますが、ぜひ見返してほしいシーンというと?
突然、(脳科学者の)茂木健一郎さんが出てくるシーンですかね(笑い)。私、茂木さんが出演されていたことを知らなくて、試写を見て、心の底からびっくりしたんですよ。本物出てるよ!と思って。本職なので、一番しっくりきているというか、そこが一番現実味が増すというか。この映画を締めているのは茂木さんが出てくるところなんじゃないかと。自分がDVDでもう1回見直したいシーンでもあります。
−−いろんなメッセージが込められた映画だと思いますが、見る人に一番、受け止めてほしいことは?
これは恋愛ものでもあるんですけど、食事の大切さとかそういうことにも目を向けてほしいというメッセージが込められた作品でもありますので、悲しくて自分が追いつめられたときにコンビニのご飯とか、冷めたものを食べるのではなくて、悲しいときほど、元気に外に出て、おいしいものを食べたり、仲間とおいしい時間を共有したり、そういう味の記憶というか、楽しい記憶などが一緒になって心に残ると思うので、そういう部分を見て何かを感じてもらえればいいなと思います。
*DVD「恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~ スタンダード・エディション」(3990円)/「同 スペシャル・エディション」(初回限定で40ページ程度のフォトブックなど封入、特典ディスク付き2枚組み、5985円)
<プロフィル>
1985年6月20日、兵庫県生まれ。03年、ドラマ「ウォーターボーイズ」(フジテレビ系)で女優デビュー後、数々の映画、CM、ドラマで活躍。04年には「茶の味」(石井克人監督)で映画初出演。05年にNHK「どんまい!」で連続ドラマ初主演。ほかに「レガッタ~君といた永遠」(06年)、「華麗なる一族」(07年)に出演。07年には「歌姫」でギャラクシー賞マイベストTV賞グランプリを受賞。昨年8月に「NECK ネック」が公開され、続いて9月には主演映画「恋するナポリタン」が公開された。連続ドラマ「パーフェクト・リポート」(10年10月期)、「告発~国選弁護人」(11年1月期)に続けて出演。27日にスタートする「リバウンド」(日本テレビ系)に主演。また29日に全国公開予定の映画「阪急電車」にも出演している。
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