ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの記念すべき50作目にあたる作品で、今年の米アカデミー賞では主題歌賞にノミネートされていた話題作「塔の上のラプンツェル」が全国で公開中だ。“髪長姫”としても知られるグリム童話「ラプンツェル」を基に現代風にアレンジした。塔の上でひっそりと暮らすラプンツェルは黄金の長い髪を持ち、出生に秘密があった。毎年、自分の誕生日に空に放たれるランタン(角灯)の正体を知りたいと、18歳の誕生日を前に大泥棒フリン・ライダーの助けを借りて冒険の旅に出る……。
ウナギノボリ
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これまでのディズニーアニメ、とりわけプリンセスものは、おしとやかなお姫様がハンサムな王子様と出会い、意地悪な魔女に恋路を邪魔されながら、やがてはめでたしめでたし……が普通だった。だが今作は違う。もちろん、ヒロインのラブロマンスは軸としてあるが、そこに、よくもここまで思いついたと思うほどのエピソードが満載。例えば、衛兵に追われるラプンツェルとフリンが建設中のダムに逃げ込むシーン。ラプンツェルが髪の毛を巧みに操り、それをロープ代わりにして助かったと思いきや、ダムが決壊し大量の水が流れ出し……とダイナミックでたたみ掛けるテンポの映像は、見せ場が多く、飽きさせない。また、ラプンツェルの髪の毛のなめらかな質感と、中に人が入っているのではないかと思えるほどの精巧でしかもぬくもりのある表情と動き。空に放たれたランタンの荘厳な美しさ。そして“今風”のエンディング。
最近、元気がなかったディズニーアニメだが、そんなブランクを忘れさせるほどの会心の仕上がり。アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされなかったことが不思議でならない。なお、ラプンツェルの声を、米国人歌手で女優のマンディ・ムーアさんが演じており、日本語吹き替え版はタレントの中川翔子さんが担当している。TOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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