はじめの1巻:「アオハライド」 “逆ぶりっ子”の女子高生・双葉が青春を駆け抜ける

咲坂伊緒さんのマンガ「アオハライド」(集英社)1巻の表紙
1 / 1
咲坂伊緒さんのマンガ「アオハライド」(集英社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、少女マンガ雑誌「別冊マーガレット」(集英社)で連載され、中学時代の初恋の相手が忘れられない女子高生・吉岡双葉が恋愛や友情を通して青春期を駆け抜けていく咲坂伊緒さんのマンガ「アオハライド」です。(毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 中学1年生の時に引っ越してしまった田中君のことが忘れられないまま高校に入学した双葉。中学時代に女子からいじめを受けた経験から、がさつに振る舞う“逆ぶりっ子”で、女友達と話を合わせながら高校生活を送っている。ある日、校内で田中君に似た男子・馬渕洸とすれ違ったことをきっかけに、双葉は徐々に自分らしい人生の一歩を踏み出していく……という物語。タイトルの「アオハライド」は、青春をアオハルと読ませ、そこにライド(乗る)を組み合わせた造語で、「青春に一生懸命乗っていく」というイメージでつけられた。

 ◇別冊マーガレット編集部 池田真理子さん キーワードは「青春に一生懸命」

 (「別冊マーガレット」で咲坂さんが連載していたマンガ)「ストロボ・エッジ」の連載を終了し、お休みをほんの少し挟んで、新連載のお話をしたとき、咲坂先生から今度は「青春に一生懸命」というキーワードが出てきたような気がします。咲坂先生は常々、「ずっと学生でもいいくらい」と話をされていて学生時代の楽しいこと、切ないことがすごく好きだそうです。「ストロボ・エッジ」では好きという感情についてのお話が主でしたが「アオハライド」では、恋愛はもちろん、友情や家族など、青春時代を取り巻くキラキラしたところも暗いところも入れていきたいですねという話をしています。

 私は女子高出身で学校行事に男子の関与はなかったので、いつも咲坂先生のこんなことがあったという話を聞いて、マンガで体験したつもりになっています。男子についてはわかりませんが、双葉が“逆ぶりっ子”をしてしまうように、女子や他者にどう見られているか、どうしたらうまくやれるのかということについては、ぐじぐじ悩んでいたので、気持ちはよく分かります。双葉はうじうじするけど、抜けてたり思い切りも良いのでうらやましく、今後の活動に注目しています。

 洸は、これからいろんな面をみせていくと思いますが、ちょっと色っぽい男の子なので、単純に絵にもわくわくしています。咲坂先生も少しずつ洸を描くのに慣れてきたようなので、さらに格好いい洸を期待しています。

 ◇書店員の推薦文 南海ブックスの岡本美紀さん 「大人の女性にも読んでほしい」

 女の子の心は複雑で、人と同じがいいと思いながら、自分の意見を持っている人に嫉妬(しっと)してしまう。それを認めることはつらい決断だけれど、「自分の好きな自分でいたい」と言えるクラスメートや、過去の自分を知る洸に「友達ごっこだ」と指摘され、双葉は黙っていられなくなる。

 1人で過ごすのが嫌で、友達に合わせることが日常になっていた双葉。洸との2度目の出会いが、元の素直な双葉に戻れる機会と、自分自身で考え決断していくための勇気を与えていく。「違う」と言えなくなった大人の女性にも読んでほしい作品です。

マンガ 最新記事