注目映画紹介:「ブルーバレンタイン」 あるカップルの過去と現在が交錯しながら進む

「ブルーバレンタイン」の一場面 (C)2010 HAMILTON FILM PRODUCTIONS,LLC ALL RIGHTS RESERVED クロックワークス
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「ブルーバレンタイン」の一場面 (C)2010 HAMILTON FILM PRODUCTIONS,LLC ALL RIGHTS RESERVED クロックワークス

 今年2月に開催された米アカデミー賞でミシェル・ウィリアムズさんが主演女優賞にノミネートされた作品「ブルーバレンタイン」(デレク・シアンフランス監督)が公開中だ。結婚7年目のカップル、ディーン(ライアン・ゴズリングさん)とシンディ(ウィリアムズさん)の“今”が描かれていく。

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 過去と現在が交錯(こうさく)しながら物語は進む。数カ月に及ぶ過去の出来事と、わずか1日足らずの現在の出来事。シアンフランス監督によると、過去と現在とでは撮り方を変えたという。例えば、過去はフィルムカメラで、現在はデジタルビデオカメラで。クローズアップが多く息苦しさを感じる現在に対して、過去は2人を少し離れたところから撮ることで若々しさやみずみずしさが強調されるといったように使い分けた。

 ディーンとシンディがどこで出会い、どんなふうに愛を育み、幸せな思い出を積み重ねていったのか。過去が挿入されることで、2人の現在の悲しさが一層強く浮かび上がる。2人が行き着く先を見れば絶望感でいっぱいになるが、しかしそれは一般的な夫婦やカップルがたどる道となんら変わらない。それを思えば別の感慨が生まれる。

 シンディ役のウィリアムズさんはキラキラ輝いていた前途有望な娘時代と、生活に疲れた看護師として働く今のシンディを演じ分けている。オスカーこそ逃したが、その演技の巧みさには拍手を送りたい。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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