ハンチョウ4:ドラマ連動の電子コミックが評判 印刷したリアル単行本に 実現したスタッフに聞く

コミック「ハンチョウ4 神南署安積班~正義の代償~」のイメージ (C)浦川まさる&佳弥、今野敏/TBSテレビ、NTTソルマーレ、兼松グランクス
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コミック「ハンチョウ4 神南署安積班~正義の代償~」のイメージ (C)浦川まさる&佳弥、今野敏/TBSテレビ、NTTソルマーレ、兼松グランクス

 俳優の佐々木蔵之介さんが主演の刑事ドラマ「ハンチョウ4~神南署安積班~正義の代償~」(TBS系)と連動して配信されている電子コミックが、7月下旬に紙に印刷したリアルな単行本として発売されることになった。電子コミック化の仕掛け人であるTBSの高山美咲プロデューサーとそれを実現した兼松グランクスの宮内芳達さんらに、電子書籍として初のドラマ連動配信の苦労とこだわり、単行本への思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 携帯サイトの担当をしている高山プロデューサーは、「『ハンチョウ』の携帯サイトが人気だったのがきっかけ。宣伝部から若い世代にもドラマをアピールしたいと聞いて、だったら携帯とマンガを使ったらどうかと思ったんです」と電子コミック化を思いついた。「月曜日(のドラマ放送直後)はアクセス数がぐんぐん伸びている」と反響があることを喜ぶ。宮内さんも「携帯の電子コミックで、もっと面白いことができないかと思っていたときに話をいただいた。ユーザーからは『コミックを読んでドラマ見てみた』『コミックで見るとこうなるんだ』と若い世代の意見がたくさん届いています」と手応えを実感している。

 ドラマと連動したコミック化には並々ならぬ苦労があるという。電子コミックの制作はドラマの完成を待たずに、台本を基に撮影と同時進行でスタートする。まず台本を読んで編集者と作家がどういう構成にするかプロットを書き、それを見たプロデューサーがラフ画を描いて、マンガ家が作画する。宮内さんは「ドラマの世界観をいかに崩さずにマンガにするかが難しい」と話し、高山プロデューサーは「いいシーンが多いので構成を考える作家は大変ですが、プロットの仕上がりも、それをチェックするのもスピード感満点でやらなければ間に合わない。まさにドラマの安積班さながらのチームワークが必要です」と語った。

 作画はAKB48の主演映画「伝染歌」や、東野圭吾さん原作のミステリー「殺人現場は雲の上」のマンガ化を手がけた少女マンガ家の浦川まさるさんと、その姉の佳弥さんの姉妹ユニットで担当している。完成ドラマを見ずに作画するため、佳弥さんは「俳優さんがそれぞれご自分なりの個性で演じられているので、せりふはまったく同じでもキャラクターが変化する。ドラマを別バージョンで作っている感じで面白いですね」と楽しみながら描いている。まさるさんは「できればみんなマンガにしたいのですが、割愛せざるを得ない部分も多くて、とても残念」といい、「今まで少女マンガを描いていたので、カッコいい成人男性を描くのが苦手だった。(佐々木さん演じる)安積班長はとにかくカッコよく、(塚地武雅さん演じる)須田さんは可愛く描く」とこだわりを見せた。

 連載してきた電子コミックを紙に印刷した単行本化が実現したことを、宮内さんは「できるだけ多くの方に作品に触れていただきたいところから始まったので、単行本もぜひやりたかった。反響が大きかったので実現できた」と喜ぶ。高山プロデューサーも「ファンのみなさまのおかげです。書店に並ぶのを見るのが楽しみ」と顔をほころばせる。まさるさんと佳弥さんは「電子書籍などデジタル化が著しい時代ではありますが、やはり本になるというのは特別にうれしい。単行本だけのオマケなども描けたらな……と画策しています」と喜びのコメントを寄せている。ドラマは毎週月曜午後8時から放送中、電子コミックはドラマ放送終了後から配信している。単行本は7月下旬に、上下巻で発売予定。(毎日新聞デジタル)

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