歌舞伎俳優の中村獅童さんが17日、赤坂ACTシアター(東京都港区)で同日から上演される舞台「淋しいのはお前だけじゃない」の公開リハーサル前に会見を行った。劇中で10年ぶりに女形の姿を披露するという獅童さんは「恥ずかしいんだよね。それまでさんざん取り立て屋役で『このやろー』って言ってたのに、二幕目の冒頭が女形って……。今日初日なんで、お客様がどんな反応をするのか……」としきりに照れていたが、「美しいですよ~。流し目あります。うちのおふくろそっくりだって」と自信を見せていた。
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「淋しいのはお前だけじゃない」は82年にTBS系でドラマが放送され、当時社会問題となっていた「サラ金」をテーマにした内容で、脚本の市川森一さんが第1回向田邦子賞を受賞した。今回は脚本を戯曲家でもある蓬莱竜太さん、演出をマキノノゾミさんが手掛ける。中村さんのほか、草刈民代さん、長谷川京子さん、平岡祐太さんらが出演し、ドラマで主人公・沼田薫を演じた西田敏行さんは、悪徳金融のオーナーとして声のみで出演する。
サラ金の取り立て屋・沼田薫(中村さん)は、妻よし江(長谷川さん)と細々と暮らしていたが、ある日、沼田は会社オーナーの国分から、自分の愛人だった由良常子(草刈さん)とその息子・市太郎(平岡さん)から慰謝料として2000万円を取り立てる仕事を依頼される。しかし、常子が昔世話になった人の娘だと知った沼田は、2人を救うために国分を相手にひと芝居打つが、それが国分に知れ、逆に2人の借金の連帯保証人にされてしまう。沼田は常子らと大衆演劇の一座を旗揚げし、興行収入で借金を返済しようともくろむが……というストーリー。
舞台の魅力について、獅童さんは「芝居の中でやることがすごく多くて、取り立て屋やって、女形やって、ロックやって……。他の人のも合わせると衣装は100着以上。裏が大変なことになっている」と早着替えの苦労を語った。舞台のタイトルにちなんで「最近は寂しくないですよね?」と聞かれると、一般女性との交際が報じられている獅童さんは「寂しいですよ、すべてが満たされているわけじゃない。満たされたいんですけれどね、役者はどっか満たされないままの方がいいんじゃないかと思うんだよね」と苦笑しながらも、「(お嫁さんをもらうのは)それも悪くないですね。そうなれるように頑張ります」と再婚に前向きな姿勢も見せた。
公演の日程は、26日まで「赤坂ACTシアター」(東京都港区)、7月1~3日御園座(名古屋市)、7月6~7日兵庫県立芸術文化センター・阪急中ホール(兵庫県西宮市)、7月9日りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場(新潟市)。なお、興行収入の一部はJNN・JRN共同災害募金を通じて東日本大震災の義援金として寄付される。(毎日新聞デジタル)