注目映画紹介:「BIUTIFUL」 余命2カ月の父の姿は… 「生きる」にインスパイア

「BIUTIFUL」の一場面 (C)2009 MENAGE ATROZ S.de R.L.de C.V.,MOD PRODUCCIONES,S.L.and IKIRU FILMS S.L
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「BIUTIFUL」の一場面 (C)2009 MENAGE ATROZ S.de R.L.de C.V.,MOD PRODUCCIONES,S.L.and IKIRU FILMS S.L

 「アモーレス・ペロス」「バベル」などで知られるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の最新作「BIUTIFUL ビューティフル」が25日から公開される。主演のハビエル・バルデムさんがカンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得。また、米アカデミー賞でも主演男優賞と外国語映画賞でノミネートされた話題作だ。

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 舞台はスペインのバルセロナ。妻と別れ、2人の子と暮らすウスバル(バルデムさん)は、霊媒師まがいのことをし、ときには非合法な仕事で日銭を稼いでいた。ささやかな幸せを求め懸命に生きてきた彼だったが、末期がんによる余命宣告を受けてしまう。残された時間は2カ月。彼は、自分亡き後の子供たちの安住の地を探し始めるが……。

 黒澤明監督の「生きる」にインスパイアされて作られた作品だという。「バベル」の後、ジグソーパズルのピースをはめ込んで行くような群像劇は「もう十分」と思ったイニャリトゥ監督は、次回作は主人公は一人で、一つの街で起こるストレートな物語を、母国語のスペイン語で撮ることを決めたそうだ。その結果生まれたのが今作だ。

 命あるものいずれは死ぬ。だから死を描くことは生を描くことにほかならない。当然ながら全体を通して陰鬱な内容であり、イニャリトゥ監督自身が「父にささげる作品」と語っているように個人的な思いが強く込められている分、息苦しさもおぼえる。しかし、だからこそ、冒頭と呼応するエンディングの静ひつな映像はカタルシスをもたらし、心に深く刻まれるはずだ。25日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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