注目映画紹介:「コクリコ坂から」 横浜舞台の高校生の恋物語 長澤まさみと岡田准一が好演

「コクリコ坂から」のイメージカット (C)2011 高橋千鶴 ・ 佐山哲郎 ・GNDHDDT
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「コクリコ坂から」のイメージカット (C)2011 高橋千鶴 ・ 佐山哲郎 ・GNDHDDT

 スタジオジブリの劇場版アニメ最新作「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督)が16日から公開される。翌年に東京オリンピックの開催を控えた63年の横浜を舞台に、父を海で亡くし、仕事を持つ母を助け、下宿屋を切り盛りする16歳の少女・松崎海と、同じ高校に通う1年先輩の新聞部の部長・風間俊の恋物語が描かれている。

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 80年に「なかよし」(講談社)に連載されていた同名マンガ(佐山哲郎さん原作、高橋千鶴さん画)が原作。宮崎駿さんが企画・脚本を担当、息子の吾朗さんが「ゲド戦記」に続いて監督を務めた。海の声を、長澤まさみさんが、俊の声を岡田准一さんが担当している。

 海が切り盛りする手入れの行き届いたコクリコ荘と、俊が取り壊しに反対する「魔窟」と化した文化部部室の建物、通称「カルチェラタン」。両者の描写が秀逸で、とりわけカルチェラタンには、いまではなかなか味わえないワクワク感が明確に息づいている。この二つの建築物を通して、古いものの価値をそれとなく知らしめていく。

 最初はジブリ作品らしくないと違和感を持ったが、海と俊の出生にまつわる秘密も、見進めるうちになんていい話なんだろうと思えるようになり、海と俊の若い2人がただただいとおしかった。2人を取り巻く大人たちが心底すてきだった。67年生まれの吾朗監督は述べている。「『コクリコ坂から』をとおして、僕は過去の中から未来が生まれるのだということを教えられた気がする」と。おそらく、誰もがそう思うに違いない。16日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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