7月放送開始の「夏アニメ」が出そろった。4月放送の「春アニメ」では、ファンタジー「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」などのオリジナルアニメがヒットしたが、夏も「輪(まわ)るピングドラム」などオリジナルが話題になりそうだ。注目作を紹介しよう。(毎日新聞デジタル)
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春アニメでは、埼玉県秩父市を舞台のモデルにした青春ファンタジー「あの花」がブルーレイ・ディスク約3万枚、「ソフトバンク」など実在の企業ロゴが出るアクション「タイガー&バニー」が約2万枚とヒットしたが、いずれもオリジナル作品で、ブルーレイの「ヒットの指標」と言われる1万枚を大きく超えた。数年前までは、アニメ化前からファンのいるマンガやライトノベル原作のアニメがビジネス的に有利だった。しかし、クリエーターの思いが強く込められたオリジナルのアニメが人気になりつつあり、夏のアニメでもその流れは続いている。
夏の本命といえるのが、やはりオリジナルの「輪るピングドラム」(MBSで木曜深夜2時10分~)だ。「少女革命ウテナ」で多くのクリエーターに影響を与えた幾原邦彦さんが12年ぶりに監督を務めることも話題となっている。妹を生きながらえさせるため、2人の兄が「ピングドラムを探せ」という謎のメッセージを受けて動く……という通好みの複雑な話で、演出なども凝っており、放送直後からマンガ家やクリエーターたちがインターネットなどに感想を書き込んでファンの注目を集めている。
他のオリジナル作では、「カードキャプターさくら」など多くの人気作を生み出したマンガ創作集団「CLAMP」がキャラクター原案、昨年末の紅白歌合戦にも出場した声優・水樹奈々さんがヒロインを演じる「BLOOD−C」(MBSで木曜深夜1時40分~)と、「機動戦士ガンダム」シリーズなどのサンライズが制作する「石」を題材にしたヒーローもの「セイクリッドセブン」(MBSで土曜深夜2時28分~)がある。
原作もので最も話題になりそうなのが、「あの花」を放送したフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」の「うさぎドロップ」(木曜深夜0時45分~)だ。「フィール・ヤング」(祥伝社)で連載中の宇仁田ゆみさんのマンガが原作で、30歳の独身サラリーマンが、祖父の隠し子である女の子を育て、家族のきずなを育むという物語。主題歌は女性デュオ「PUFFY」で、8月20日には、松山ケンイチさんと芦田愛菜さんが出演する映画も公開され、女性を中心に人気を集めそうだ。
他には、妖怪の血を継ぐ中学生の物語を描いた椎橋寛さんのマンガが原作の「ぬらりひょんの孫」(読売テレビで月曜深夜2時14分~)や、妖怪を見ることのできる少年と妖(あやかし)の交流をつづった緑川ゆきさんのマンガ「夏目友人帳」(テレビ東京で月曜深夜1時半~)などが登場する。夏の定番の「妖怪もの」だが、いずれもホラーより友情やきずなに重きを置いている作品だ。
ライトノベル原作では、禁断の力を持つ「幻書」が引き起こす事件を解いていく三雲岳斗さんの「ダンタリアンの書架」(テレビ東京で金曜深夜1時23分~)、自称「ニート探偵」たちが都心の繁華街で起きるさまざま事件に挑む杉井光さんのミステリー「神様のメモ帳」(TOKYO MXで金曜深夜1時半~)がスタート。いずれも謎多き少女と青年がコンビとなって事件を解決していく物語だ。
今夏は、人と人とのきずながテーマになった作品が並んだ。新たなヒット作が誕生するか、注目だ。
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