12~14日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット80」が盛況のうちに終わった。「コミケ」の略称で親しまれ、3日間で50万人を動員する国内最大規模の“マンガの祭典”の魅力とは?(毎日新聞デジタル)
ウナギノボリ
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同人誌は、同じ趣味を持つ仲間たちで自主制作する雑誌のことで、自分の好きな作品の設定を使って、好きなストーリーを描く人もいれば、オリジナル作品を作る人もいる。媒体も冊子が主体だが、ゲームやグッズなどもありさまざまだ。コミケは、マンガの同人誌を作るサークルが、同人誌を売買するマーケットとして75年から始まった。70年代の「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」、80年代の「キャプテン翼」、90年代の「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメやマンガの大ヒット作品が生まれるたびに来場者を増やしてきた。現在はお盆と年末の2回開催され、今夏は3日間で54万人が集まり、1日20万人が訪れる国内最大級のイベントとして知られる。
コミケの人気は、同人誌を制作する「サークル」が全国から集結し、アニメやマンガ、ゲーム、芸能、鉄道などといった多様なジャンルの作品が並ぶことだ。参加希望のサークルは5万以上あるが、参加できるのは3日間で約3万5000。実施期間の延長を望むサークルの声も多いが、国内にはビッグサイトより大きな展示場はなく、実現は難しいという。1日1万を超える参加サークルの中で、人気のあるサークルは、別格扱いとして壁際に沿って配置されることから「壁サークル」と呼ばれている。商業誌で活躍するプロのマンガ家やイラストレーターが参加しており、中には1回のコミケで数千冊を販売するサークルもあるという。
また、会場には、アニメやゲームのキャラクターの扮装(ふんそう)をする「コスプレ」で、自慢の衣装を披露するコスプレ広場が設けられ、多くのコスプレーヤーが参加し、コミケの見どころの一つとなっている。そこで取り上げられるキャラクターの数が、アニメやマンガの人気のバロメーターとなっており、今回は、1~4月に放送されたテレビアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」と、放送中の「タイガー&バニー」が人気だった。
アニメ制作会社や出版社、ゲーム会社がそろう企業ブースもにぎわう。アニメやマンガ、ゲームなどの限定グッズなどが販売されることから終日長い列が作られる。企業は、コミケをプロモーションの場として活用しているが、今回は、青春マンガ「めくりめくる」の舞台となった岡山県倉敷市の観光課が、地方自治体として初出展した。
さまざまな表現を許容するコミケは、新人作家を発掘する場にもなっている。出版社の編集者らは、有力ブースの作家をスカウトするために足を運んでおり、ここから人気マンガ家になった人も少なくない。
また、海外からの来場者や取材も急増しており、英語版や韓国語版のカタログが発行され、外務省の日本文化紹介のビデオにも取り上げられるなど「クールジャパン」の象徴として世界的に評価されている。
だが、昨年は、性的表現のあるマンガの販売規制を強化する東京都青少年健全育成条例改正問題や、参加者の増加による会場確保の問題など課題も多い。しかし、民間の調査機関などによると、即売会やネット販売などで同人誌の売り上げは数百億円ともいわれる。巨大なマーケットとして成長し続けるコミケ、クールジャパンの文化をはぐくむ場としても今後も注目だ。
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