注目映画紹介:「カンパニー・メン」 突然解雇されたサラリーマンの再生の物語

「カンパニー・メン」の一場面(C)2010−JOHN WELLS PRODUCTIONS
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「カンパニー・メン」の一場面(C)2010−JOHN WELLS PRODUCTIONS

 米人気テレビシリーズ「ER 緊急救命室」や「ザ・ホワイトハウス」などの演出や脚本家として知られるジョン・ウェルズさんの初映画監督作「カンパニー・メン」が全国で公開中だ。脚本もウェルズさん自身が書いている。年収12万ドル(約919万円)を稼ぎ、立派な家に住み、愛車はポルシェ。美しい妻と可愛い2人の子どもと何不自由ない生活を送っていた37歳のエリートサラリーマン、ボビーが突然、解雇通告される。人生のどん底に落ちた彼が家族に支えられ、やがて新たな生き方を見つけるまでを描くヒューマン作だ。

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 従業員の解雇は合法と言い張る経営者と、「では倫理的には?」と問いただす良心ある重役ジーン。従業員のクビを切るなら会議室の名画を売れというジーンの言葉にも、経営者は耳を貸そうとしない。それどころか、リストラによって株価は上がり、経営者の懐は温まる……。そんな非情な現実を見せつけられ、しばしむなしさにぼうぜんとなるが、しかし、今作のいいたいことはそこではない。たとえどん底に落ちようと支えてくれる人がいれば立ち直れる。それどころか、気の持ちようで、一回りも二回りも人間として大きくなれる。さらには、労働とは何かについても、この映画は教えてくれる。米国企業とそこで働く人間の話だが、日本人にも十分通用し、共感できる。

 ボビー役のベン・アフレックさんはじめ、重役ジーン役のトミー・リー・ジョーンズさん、ボビーとジーンの同僚役のクリス・クーパーさん、そして、ボビーの義兄役ケビン・コスナーさんといった、それぞれが主役を張れる名優たちが、ウェルズさんの脚本に感銘を受けて出演し、絶妙なアンサンブルを奏でている。とりわけ、義弟のためにひと肌脱ぐ男気ある人物を、出しゃばらずに演じたコスナーさんの存在感が光る。23日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほかで全国で順次公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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