モテキ:映画ラストシーンは原作不採用 デトックス女子会で久保ミツロウ暴露

能町みね子さん最新作「ドリカム層とモテない系」表紙
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能町みね子さん最新作「ドリカム層とモテない系」表紙

 マンガ「モテキ」で知られるマンガ家の久保ミツロウさんとエッセイストの能町みね子さんによる男子禁制の女子会トークショーがこのほど東京都新宿区のトークライブハウス「新宿ロフトプラス1」であった。俳優の森山未來さんが豪華女優陣を相手にしたことで話題の映画「モテキ」(大根仁監督)について、ラストシーンが原作者の久保さんの脚本ではないことが暴露され、「ハッピーエンドの話なんて描けない」と久保さんが叫ぶなど「モテない系」2人の毒はきトークに、会場の定員を大幅に超える約190人が集まった女子たちも爆笑の連続だった。

ウナギノボリ

 トークショーは「男子禁制!!俺たちデトックス女子会~映画『モテキ』公開記念&『ドリカム層とモテない系』出版記念トークショー~」と題され、映画「モテキ」の公開と能町さんの最新作「ドリカム層とモテない系」(ブックマン社)の出版記念として開かれた。「ドリカム層とモテない系」は「くすぶれ!モテない系」、「呻(うめ)け!モテない系」に続く能町さんの「モテない系」3部作の最終巻で、本の帯に“モテない系”として久保さんも推薦文を寄せている。「モテない系」とは能町さんの造語で「モテるために何かをする」ことや世間の“定番とされている価値観”などに抵抗があるというある種の生きにくさを感じている女子のこと。

 久保さんは「心の中に毒があって伝え方を間違えると自分がイヤな女にしか見えない愚痴がすごくある。言葉にすればするほど自分が醜くなっていくんだけれど、トークイベントだったらエンターテインメントとして面白く伝えられるんじゃないかと思った」とイベントの経緯を話し、能町さんとモテない系の視点から、普段感じている世間への違和感など、体験談など織り交ぜ語りあった。久保さんは「『新宿ロフトプラス1』でトークショーをするのは夢だった。ここで乾杯するなんて頂点に上り詰めた感じ」と話し、能町さんは著書について「一見ファンシーな表紙なんですが、帯をめくると毒キノコ。裏表紙は風船落ちてる絵だし」と早速“毒”を吐き会場は笑いに包まれた。

 映画「モテキ」について話が及び、能町さんが「ラストが久保さんの脚本ではないと知って納得がいきました」と話すと久保さんは「私はハッピーエンドの話なんて描けないから。映画版は私が先に原稿を描いたら(監督・脚本の)大根仁さんが脚本を書いてという感じで、私が最後の結末に悩んでいたら大根さんが先に書いちゃったんです。『この終わり方はねーだろ』って私は思ってそれに近いけれど少し違う方向で描いたんだけれど今度は大根さんが『これはないよね』って。結局は大根さんのやる方向になって。私の描けないハッピーエンドを描いてもらわないと映画としても成り立たないので。だからといって映画に不満があるわけでなく、私にできない仕事をしてもらったのでよかったかな」と明かし「映画を見た人で“リア充”の人は『だまされた』って言ってるらしい、特に後半が。でも私のマンガを読んでいる人にとっては後半が必要なわけで。あっち側(リア充)の人はいいですよねー」と話し笑いを誘っていた。

 トークショー後半では能町さんと久保さんのツイッターから日ごろ気になっていることを挙げ、久保さんは「今回みたいなイベントがあると必ず『1人で行っても大丈夫ですか?』って言う人がいる。世の中1人でいけない場所はどこにもないですから!」と力説し、“おひとりさま”で会場に駆けつけた多くの観客から拍手がわいた。その後も2人は「パートナー文化との深い溝について」や「友達の彼女を紹介されたときの身の置きどころ」などモテない系ならではの日ごろからたまっているデトックスしたいネタを次々と披露、「パートナー文化に根ざした世界」を表現する“社交界”という言葉も生まれ、観客も共感していた。

 3時間超にわたって“毒”を吐いた2人だったが、久保さんは「これほど暗い話をしているけれど、どこかで一発逆転狙っていますから、本当は。結婚生活をしたいわけじゃなく結婚パーティーをぶち上げたい」と告白すると、能町さんも「私もモテない系として(モテない系特有の)結婚式を挙げたくないという悩みにもそれっぽく答えてきたけれど、本当はめっちゃ挙げたい。芸能人と結婚したい。うらやましがられたい。ポジティブなこと言ってそんな自分に酔いたい」と本音を吐露。久保さんは「『Yeah!めっちゃ挙げたい』って感じ。『みんな、夢は捨てちゃだめだ』みたいなこと言ってオノヨーコみたいになりたいですね」と希望を語り、思いがけない展開に観客も笑い転げていた。

 最後に久保さんは「好評だったら(デトックス女子会を)シリーズ化したい。男子禁制なのは、男にちょっとでもよく見せようとしている自分を見せたくないから、見られとうなかった!」と叫び、「逆に男子オンリーにして私らはレディー・ガガのコスで目を閉じて(ガガさんが出演した)『徹子の部屋』の衣装で“女性性”を隠して出るとか」という案も飛び出し今後のトークショーへの期待も残しつつ会は終了。結局、トークショーは前半と後半に分けて3時間超にも及び、観客も大満足の様子だった。

 映画「モテキ」は公開中。「ドリカム層とモテない系」はA5判168ページで1260円で発売中。(毎日新聞デジタル)

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