昨年末の「第61回NHK紅白歌合戦」に初出場した歌手のクミコさんが、東日本大震災の被災地復興のために「きっとツナガル募金」の設立を決め、4日、東京都内で会見を開いた。クミコさんは地震当日、コンサートのために宮城県石巻市を訪れており、「一時は歌も駄目かなと思ったんですが、いろんな出会いがあって、皆さんに助けていただいて、自分の歌も再生できた」と被災地での出会いに感謝し、募金について「私だからやれる。持続力だけはあるんです。頑張るからみんな、何とか支えて!」とこぶしを握って募金を訴えた。
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クミコさんは、出番を待っている時に地震に見舞われ、裏山の採石場に避難。津波のことは翌日知ったといい、「罪悪感と無力感でもう歌えないと思いました」と被災体験をVTRで紹介。6月に石巻市で行った復興コンサートで「皆さんが涙を流して私の歌を聞いてくださった。自分のできることは何でもしようと思いました」と熱い思いを語った。復興コンサートでクミコさんが歌った「最後の恋~哀しみのソレアード~」は、復興応援ソングとして、2日付の有線チャートで3度目という首位を獲得している。震災半年後の9月11日には、再び石巻市で津波にのみ込まれたグランドピアノを再生してコンサートを行い、被災したときの思いを込めて作った新曲「きっとツナガル」を初披露。「再生ピアノで、あきらめないことを教わった。どんなにつらくても人と人がつながっていれば何とかなる」と募金設立の経緯を語った。
同募金は、クミコさんが被災地の子どもたちのために何かできないかと設立したもので、「いい一歩の1日にしたい」という思いを込めて、11日からスタートする。クミコさんがナビゲーターを務めるほか、音楽評論家で作詞家の湯川れい子さん、作家で医師の鎌田實さん、タレントの笑福亭鶴瓶さんが賛同し、メッセンジャーとして募金の情報を広め、インターネットのクレジット決済で募金を集める。また、これまでクミコさんが続けてきた「INORI募金」は同募金に移行する。
集められた募金は、石巻市の学校の環境整備や、福島の子どもたちの短期疎開のための支援を中心に、現地でのチャリティーコンサートなどの支援にも使われる。鎌田さんは「クミコさんが子どもを助けたいと言って、僕はすぐに『応援します』と言った。精神的にも参っている子どもたちに元気を与えてくれたらうれしい。一緒に全力で助けたい」とビデオメッセ−ジを送り、鶴瓶さんは「人が人を思う心は、どんな自然の猛威にも勝てると信じている。自分のできることでいい、自分ができる喜びを感じよう」と手紙でコメントした。
会見には、クミコさんのほか、湯川さん、グランドピアノを再生させた石巻市の楽器店「サルコヤ楽器店」の井上晃雄社長も出席。クミコさんは「ピアノが再生できたら、私も歌う」と井上社長に約束したといい、井上社長は「おかげさまで何とか完成させることができて、無上の喜びです」と笑顔で話した。会見では、クミコさんが再生ピアノで歌った「きっとツナガル」を熱唱した。同募金は11日から開始予定。会見はユーストリームで生中継された。(毎日新聞デジタル)