JAY’ED:内定を断ってまで入った音楽の道 新作は「苦の中の希望」がテーマ

生い立ちやニューアルバム「Your Voice」について語ったJAY’EDさん
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生い立ちやニューアルバム「Your Voice」について語ったJAY’EDさん

 歌手のJAY’EDさんが、9枚目のシングル「永遠はただの一秒から」(JAY’ED×JUJU)を含むニューアルバム「Your Voice」をこのほどリリースした。日英のバイリンガルであるJAY’EDさん。 そのインターナショナルな生い立ちや環境、最新作について話を聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−JAY’EDさんはお父さんが日本人、お母さんがニュージーランド人で、小学4年生までニュージーランド、小5から3~4年前までは大阪に住んでいたそうですが、子どものころはどんな音楽を聴いていたんですか。

 日本に来てからはスピッツ、B’z、Mr.ChildrenといったJ-POPのチャートに入ってるもの、洋楽だとヒップホップ、R&Bとかのブラックミュージックを聴いてました。あと、すごく影響を受けたのは久保田利伸さん。桑田佳祐さんや山下達郎さんもすごく好きで、ブラックミュージックな、ソウルフルな感じもしながら、日本人としてのアイデンティティーとして受け入れやすい感じがしたんですよね。

 −−なるほど。ところで、落語家の桂ざこばさんとは親戚関係にあるそうですね。

 僕のお父さんのお姉さんのだんなさんなので、血はつながってないんですけど、僕がニュージーランドにいたときから毎年遊びに来たりしていて。そのころはどういうこと(仕事)をしているのか正直分からなくて、“よく日本から来るおじさん”という感覚でしたね。

 −−“おじさん”にまつわるエピソードは何かありますか?

 インディーズのときにこっそりライブを見に来てくれて、トーク中に「オチがない!」ってヤジを飛ばしたり、(ライブ後の感想で)「(音楽性とか)よう分からん。なんかうるさい」って(笑い)。「歌をやり出したのは俺の影響あるやろ?」ってよく聞かれるんですけど、「ない」っていうとちょっと寂しそうにするんですよ。なので、次からは「たぶんそういう影響もあります」っていおうかなと思います(笑い)。

 −−ハハハ(笑い)。では、音楽界でのつながりについてもお聞きしたいのですが、最新シングル「永遠はただの一秒から」では、2年半前の「明日がくるなら」に続き、JUJUさんとコラボされていますよね。そもそも「明日がくるなら」での共演のきっかけは?

 曲を作ってもらっている共通のトラックメーカー(作曲家)さんがいて、その人の結婚式があったんですけど、その結婚式でテーブルが一緒やったんですよ。そのとき「どういう曲好きなの?」とかいろいろ話をして、「じゃあ今度一緒に曲を作りましょう」みたいな話になったのがスタートですね。

 −−今回の「永遠はただの一秒から」はどんなイメージで曲作りをしていったんですか。

 “男女のすれ違い”をテーマにしたくて、それで女性ボーカルを入れようってなったとき、JUJUさんなら曲の質感にすごくマッチするんじゃないかって。すれ違いながらも、それを乗り越えて向き合っていく2人の姿を描きたかったんです。その向き合う瞬間を重ねることが、永遠につながっていくというか。

 −−そんな「永遠はただの一秒から」を収録したニューアルバム「Your Voice」が完成しましたが、今作のテーマは?

 一つの大きなテーマは「苦の中の希望」。いろんなつらい思いをしながらも前向きにいこう、という思いがあって。自分自身も、インディーズのころは別の仕事をやりながらでないといろいろ厳しくて、最終的に音楽をやめそうになったことがあるんです。就職活動をして、ある会社に受かって。(採用の)電話をいただいたんですけど、そのとき、自分が音楽をやり始めたころの思い、苦しかったこと、楽しかったことが走馬灯のようによみがえってきて……。まぁ、ほとんどつらいことばかりだったんですけど。

 −−そんなことがあったんですね。で、結局どうなったんですか。

 自分にとって音楽は、それだけつらい思いをしても熱くなれたものやし、これでいいのかなって。そう思ったとき、その電話(採用の話)を断ってしまったんです。でも、それで一つ区切りがついたというか。そこからまたつらいこともありましたけど、逆にちょっとした喜びが大きく感じられたり、こうして音楽で生活できるようになって。だから“どんなにつらい思いをしてても自分の気持ち一つで変わる”、そんなパワーを与えられるメッセージをこのアルバムで伝えたいなって。

 −−実体験からつづる“ポジティブな思い”が詰まっているんですね。

 自分の経験から「やれるときは今しかないんだよ」ということだったり、昔の自分を思い出しながら「世間では脇役的な存在だけど、自分の世界では自分が絶対に主役」という思いを書いてみたり。あと、遠距離恋愛をモチーフにした曲があったり。いろんな状況で聴けるアルバムだと思うので、ぜひゲットしていただきたいです。

 <プロフィル>

 日本人の父とニュージーランド人の母の間に生まれ、10歳までニュージーランドで過ごす。08年にシングル「Superwoman」でデビュー。翌年にはJUJU with JAY’EDとして「明日がくるなら」をリリースした。初めてハマッ たポップカルチャーは「キン肉マン消しゴム」。「ニュージーランドに住んでいたころ、おばあちゃんにいつも“キン消し"をいっぱい送ってもらってました。“キン消し"用のリングもちゃんとあって、その中で戦わせて遊んでましたね」と話した。 

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