桜 稲垣早希の補完計画:「大奥」 女綱吉にはせる思い 女性の“真の姿”が

「大奥」への思いを語る桜 稲垣早希さん
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「大奥」への思いを語る桜 稲垣早希さん

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン・アスカのものまねで知られるお笑い芸人の桜 稲垣早希さん。「エヴァ」だけでなくさまざまなアニメやマンガ、ゲームが大好きという稲垣さんが、熱い思いを語ります。

ウナギノボリ

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 さて、今回取り上げるのは、よしながふみさんのマンガ「大奥」(白泉社)です。これは少し前に映画にもなりましたが、マンガの方はまだまだ続いている作品です。大奥を題材にされた作品はドラマも含めたくさんありますが、この大奥の特徴は「男女逆転」というところです。なので、殿が女で大奥の側室たちが男なのです。

 日本中である病が流行し、次々と男が死んでしまって、畑を耕すのも、商売をするのも、国を支えるのも、女となってしまった世界。となると、いつも欲望うずまく大奥の面白い部分が、女大名だと爽やかに描かれてしまうんじゃないのかなと心配だったのですが、全くそんなことはなく、通常の大奥の作品よりも、女のずるい部分や男の女社会での生き方がもうドロドロでぐちゃぐちゃで、ものすごい作品になっていました。

 私の好きなキャラは五代徳川将軍「綱吉」です。もちろんこちらも女性版綱吉なのですが、この将軍が一番かわいそうというか、我が道を行くわがままな将軍なのですが、本当は心の中はいつもからっぽで何かむなしさを常に感じているかわいそうな将軍さんです。死ぬまでに真実の愛は見つけられるのか!? 人間味が最も感じられるキャラクターだと思います。

 中でも「将軍というのはな、岡場所で体を売る男たちよりもっともっと卑しい女のことじゃ…ふふ」と泣きながらいうせりふが印象的でした。何というか、私も普段華やかに見える仕事と思われがちで、友だちに「さきちゃんは毎日充実してて楽しそうだね~」といわれることがあるのですが、確かに楽しくて大好きな仕事ですが、そればかりではなく、他のお仕事と大変さや地道さは変わらないと思いますし、「すごく出会いもあって、すてきな人に囲まれてうらやましい~」だなんていわれることもありますが……。実際は吉本に入ってから男性とお付き合いだなんてできてないし……。でも親には心配させないように「毎日楽しいよ~」なんていったりして。そして、酔ったときに家で飼ってるハムスターに愚痴を聞いてもらったりするとき、いろんなことをはき出すさまが、綱吉のこの状況と少し似てるかな~と思ったので、このせりふは印象的でした。

 この作品は世の中の大奥好きの人に読んでほしいです。新しい大奥が見られます。あと、女性に幻想を抱いている草食系男子の方は、これを見たら、女性の真の姿が見られるかもしれませんよ。

 ◇プロフィル

 桜 稲垣早希(さくら いながき・さき)=83年神戸市生まれ。07年2月に、お笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M−1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に相方がコンビを卒業し、ピン芸人として活動。アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、バラエティー番組「ロケみつ」(毎日放送)でブレーク。「R−1ぐらんぷり」で2年連続で準決勝に進出したほか、「吉本べっぴんランキング」でも2年連続で2位を獲得している。最近ではバラエティー番組などでナレーションもこなすなど、芸の幅を広げている。

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