歌手で俳優の吉川晃司さんが19日、東京都内で開催された手塚治虫さんのマンガが原作の舞台「陽だまりの樹」の製作発表会見に、共演者の上川隆也さんや脚本と演出を手がける樫田正剛さんらと登場した。ミュージカルの出演経験はあるが、舞台でのストレートプレー(芝居)は初めてという吉川さんは「素人ですし、無心で真っ白いキャンパスになった気持ちで舞台に上がりたい。コンサートでは緊張と戯れることができるけど、舞台は初めて。自分が知らない自分に会えるのは刺激になると思う」と意気込んだ。樫田さんは「吉川さんは“謙虚にいく”ということですが、不安です」とけん制すると、吉川さんは「案外、謙虚ですよ」と笑顔で返した。
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原作は、81~86年に「ビッグコミック」(小学館)で連載された手塚さんの代表作の一つで、00年にはテレビアニメ化されている。愚直なほど幕府に忠誠を尽くす武骨で一本気な武士・伊武谷万二郎(吉川さん)と、万二郎と“恋敵”となる原作者の手塚さんの曽祖父で蘭方医・手塚良庵(上川さん)が、幕末、戊辰戦争、明治維新という時代の流れの中、藤田東湖、西郷隆盛ら歴史上の人物たちとの交流をへて、成長し、友情を深めていく姿を描く。吉川さんと上川さんのほか、石倉三郎さん、岡本健一さん、高野志穂さん、花影アリスさんらが出演する。
吉川さんと初共演という上川さんは「実はさっき(発表会の前に)初めて会ったんですよ。吉川さんがデビューしたときから拝見させていただいているので『本物だ!』と思いました」と話し「共演できると聞いたときはうれしかった。同い年(46歳)なので、舞台以外のコミュニケーションも楽しみです」と共演を喜んだ。また上川さんは、吉川さんにアドバイスを求められ「そんなのおこがましいですよ。どうなるかが楽しみ。『旋風脚』(吉川さんがコンサートで見せるパフォーマンス)が出るかを楽しみにしています」と期待を寄せると、吉川さんは「プレッシャーですよ。飲みながら(アドバイスを)聞きまくります」と苦笑した。
また、吉川さんは「今は幕末や大東亜戦争後のような変革のときで、そこは(舞台の設定と)似ているかもしれない。世の中に対する怒りや憤りをヒステリックにならずに一緒に考えましょう……というのをエンターテインメントとしてやりたい」と舞台への思いを語っていた。
舞台は4月13~23日にサンシャイン劇場(東京都豊島区)、5月4~20日に新歌舞伎座(大阪市天王寺区)、5月24~27日に中日劇場(名古屋市中区)で上演。(毎日新聞デジタル)