はじめの1巻:「長歌行」 中国史を基に“美人すぎる”マンガ家が描く少女の復しゅう物語

夏達さんのマンガ「長歌行」(集英社)1巻の表紙
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夏達さんのマンガ「長歌行」(集英社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「ウルトラジャンプ」(集英社)で連載、中国・唐の時代の長安近辺を舞台に永寧姫(えいねいき)こと李長歌(りちょうか)の活躍を描いた“美人すぎる”と名高い中国人マンガ家・夏達(しゃあたぁ)さんのマンガ「長歌行(ちょうかこう)」(集英社)です。

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 唐の初代皇帝・李淵(りえん)の後継者争いに巻き込まれ、自らの命を狙う追っ手から間一髪で逃れた李淵の息子・李建成(りけんせい)の娘の李長歌。李長歌は、父や叔父を殺害して二代皇帝・太宗となった叔父・李世民(りせいみん)に、一族を根絶やしにされながらも生き延び、李世民への復しゅうを誓う……という物語。

 ◇編集部からのメッセージ ウルトラジャンプ編集部 松井栄元さん「回を追うごとに作者自身も成長」

 夏達さんはとても頑固です。こっちの方がいいかなという私の考えを簡単に受け入れてくれることはまれです。どうしてかといえば彼女の中で作品の世界観がしっかりと出来上がっていて、私のほぼ思いつきで考えているようなキャラクター像は彼女のそれの前ではまったく現実感を失うからです。彼女の中では李長歌も阿史那隼も李世民さえも熱い血の通った人物たちであり、しかも話数を重ねるごとに成長を続けているあたかも同時代を生きている存在だからなのです。

 中国のマンガはここ数年、量的にはかなりの速度で増加していますが、質の点からいえばまだまだで、しかもカラーマンガが主流という(日本から見ると)変則的な状況です。そんな中で日本式の白黒マンガにこだわり続け頑張っているのが夏達さんです。

 中国の雄大な大地と悠久の歴史、そして現代にも通じる人間の大義、男女の恋愛……などこの作品を描くにあたって夏達さんにお願いしたテーマは多いのですが、彼女はその持ち前の芯の強さと生来のしなやかさをもってそれらをこなし、回を追うごとに彼女自身も成長を遂げています。これからどこまで伸びていくのか、一編集者としても楽しみでいっぱいです。

 ◇書店員の推薦文 ひょうたん書店西田本店 筒口征洋さん「『キングダム』や『ビン 孫子異伝』に並ぶ」

 名君として知られる唐の皇帝・太宗を、倒すべき敵として描いているだけでも歴史好きには「おっ」とくるものがあるはず。宮中を舞台に陰謀渦巻く人間ドラマが緊迫感たっぷりに進行したかと思えば、策略を巡らせ軍勢を打ち倒す戦場のシーンも迫力満点。そしてその中心となる長歌の姿が、強さや美しさと同時に危うさや幼さも垣間見せているところが、何よりも目が離せません。この面白さは、集英社さんの中国史もので人気作となっている「キングダム」や「ビン 孫子異伝」に並ぶほどです!

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