太陽にほえろ!:ドック、ラガー、ジプシーが思い出語る 殉職への思いも

刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の思い出を語った(左から)三田村邦彦さん、神田正輝さん、渡辺徹さん
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刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の思い出を語った(左から)三田村邦彦さん、神田正輝さん、渡辺徹さん

 70~80年代に放送され、絶大な人気を誇った刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の83年放送分を収録したDVDボックスが21日に発売される。、ドック(西條昭)役の神田正輝さん、ラガー(竹本淳二)役の渡辺徹さん、ジプシー(原昌之)役の三田村邦彦さんに、DVDボックスの特典映像の収録後、殉職シーンへの思いや“ボス”を演じた亡き石原裕次郎さんとの思い出などについて話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「太陽にほえろ!」は、72年7月~86年11月の約15年の間に全718話が放送され、絶大な人気を誇った刑事ドラマ。石原さん演じるボスが率いる七曲署の個性的な刑事たちの活躍とともに、「殉職」による出演者の交代も話題となり番組の人気を盛り上げた。続編となる「Part 2」が86年11月~87年2月に放送されたほか、97年から01年にかけて4本のスペシャルドラマが制作された。今回のDVDボックスには、83年1月7日放送の第538話から12月30日放送の第583話まで(第571話をのぞく)を収録予定。ジプシー(三田村さん)が転勤で去る第545話「さらば!ジプシー」などのエピソードも収録される。

 特典映像の収録では終始和やかに当時を振り返っていた3人。カナダやスイスなどの海外ロケでのエピソードなどが続々と飛び出し、思い出話に花が咲いた。所轄署を放浪するように渡り歩いていることから「ジプシー」と呼ばれた刑事・原昌之を演じた三田村さんは「30年って言ったらえらい年月だと思うけど、ついこの間のような気がする。改めて振り返ると、撮影のことよりも、変なことばっかり覚えてる」、医大中退という異色の経歴を持つドック役の神田さんも「学校の同窓会に似てるよね」と笑顔を見せる。高校時代のラグビー経験から「ラガー」の愛称で呼ばれた竹本淳二役の渡辺さんも、「当時は神田の兄貴も含めて若手でしたけど、会うと若手気分になれますよ。それだけ大きいことだったんだなと思いますね」と一様に感慨深げだ。

◆殉職シーンへの思い

 3人の中で唯一、殉職シーンを経験した渡辺さんは、狙われた観光バスを守るため、犯人と差し違えに弾丸を受け殉職する。「本当に死ぬ思いですよね。お別れなんだという気持ちがどんどん、撮影現場では家族以上に過ごしちゃってるから、そこを離れてしまうっていう大きな精神的なプレッシャーがありました。単に芝居で死ぬとか、いい演技をするとかっていうことよりも、その思いが強くなりましたね」と振り返り、「もう単にドラマの撮影を超えている。そういうドラマだったので、送り出す側としても悲しかったし、自分が去っていくときはより悲しかった」としみじみと語った。

 86年の第718話(最終回)まで出演し、殉職シーンを経験していない神田さんは「『太陽』ってのは卒業が殉職じゃないですか。刑事として出たからには、僕も絶対(殉職シーンは)あると思ってたんですけど。だから僕、留年のまま終わっちゃった」と冗談交じりに話し、「徹もいったら次は僕だなと思って、『僕はいつですか?』と聞いたら、『ない』って言われて、ショックだった。『太陽』が終わって、でも僕は終わってないから、けじめがないんだよね」と告白。転勤という形でシリーズを卒業した三田村さんも、「殉職したいよね。中ぶらりんというか、けじめがついてない。終わってないんですよね」と胸中を明かす。神田さんが「俺ら留年だから(笑い)」とちゃめっ気をみせると、渡辺さんは「(殉職せずに)生きてるってことは、今後、二人の『太陽にほえろ!』があるかもしれない」と笑わせていた。

◆石原裕次郎さんとの思い出

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 「太陽にほえろ!」では、ボス役の石原裕次郎さんが大きな存在だ。三田村さんは、あこがれの石原さんとの初共演シーンで言葉を発せなかった思い出を告白。「初日の撮影で、『ボス!』とドアを開けて部屋に入ったら、一言も出なかったですね。子供のころからの映画の中の憧れの方と面と向かって、何も出なかった。『参ったな』と思っていたら、裕次郎さんが来て、肩を組んでくれて、『おまえさあ、大丈夫だから。俺はただのおっさんなんだからさ。緊張すんなよ』とかって世間話をしてくれて、ほっとしましたね」としみじみと懐かしんだ。

 渡辺さんも、石原さんにかわいがられていた思い出を語り、妻の榊原郁恵さんとの交際発覚後に、石原さんから「郁恵ちゃんとはどうなんだ?」と聞かれ、「大事にしろ。何かあったら俺に相談してこいよ」と言われたことを明かし、「ボスの出番が2週に1回なんですけど、毎回、『どうなんだ?』『その後、どうなんだ?』と聞いてくるので、ちょっとうるさいなと思って(笑い)。お世話になりました」と懐かしそうに話す。神田さんは「ドラマの一番最後がストップモーションになるんですが、ボスが最後何やるかなって言うのが、すごく楽しみでしたね。みんなの立ち位置だけ決まってて、ボスが何やるかはわかんなくて、それが楽しみだったですね」と楽しそうに振り返っていた。

 渡辺さんは「男の子が見るドラマ、憧れるドラマっていうのが少なくなってきたような気がする。自分も小学生のころから見て憧れてきたドラマなので、その気持ちを分かち合いたいですね」、三田村さんは、「ドラマなんだけど、ドラマ以外の俳優としての石原裕次郎さんの魅力とか、個々の魅力を見ていただけると、また違う見方ができるんじゃないかな」と話し、神田さんも「オンタイムでない人だったら、ちょっと古い時代劇だと思って見ていただけたらいいんじゃないかな。運転も俳優が実際にしているし、一番怖かったのは爆破だよね。そういうのを自分たちでやっているし、ちょっと古い、30年前の時代劇だと思って見てもらったらいいんじゃないかなと思いますね。今これ作るの無理だもんね」と若い世代へのメッセージを送っている。

 「太陽にほえろ! 1983 DVD-BOX」は、DVD13枚組み(特典ディスク1枚)で本編約2100分。神田さん、渡辺さん、三田村さんといった出演者やスタッフが当時の撮影秘話などを語る特典映像も収録され、当時のスチールを静止画で収録したデータ集や、貴重なスチール写真、番組宣伝資料などを掲載した豪華ブックレット「太陽にほえろ!名場面集1983」が特典として封入される。7万7777円で21日に発売予定。

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