99年に公開された、ジョージ・ルーカス監督による大ヒット映画「STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス」が待望の3D映画化され、全国で公開されている。この作品にエキストラとして参加しているのが、ルーカス監督の娘で、撮影当時ティーンエージャーだったアマンダ・ルーカスさんだ。31歳のアマンダさんは、いま、格闘家として活躍しており、日本で2月に行われた総合格闘技「DEEP57」では、女子無差別級初代王者に輝いた。13年ぶりの映画公開に際し、父親のためにひと肌脱ごうと試合後そのまま日本に滞在。撮影当時のこと、父ルーカス監督のことなどを語った。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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「目の周りのアザ以外は、とりたてて大きなケガや傷はありませんでした」と、チャンピオンベルトを傍らに置いて、先ごろ行われた試合について語るアマンダさん。小さいころは、「歌って踊れるマドンナみたいな歌手」にあこがれたが、「歌があまりうまくなかった」ことから断念。代わりに、レッスンを受けるほど好きだったダンスの道に進み、やがてダンスインストラクターになった。その後、夫のジェイソンさんと、ムエタイとブラジリアン柔術を習い始めたことが、格闘家に転身するきっかけとなった。アマンダさんは「最初は健康のために始めたんです。ところがジムに通ってトレーニングをしているうちに、体も引き締まるし、スパーリングは面白いしでハマってしまって。じゃあ、試合に出てみようかとなったわけです」と明かす。
そんな娘の今回の勝利を、父親のルーカス監督は「ケガをしなかったことに安堵(あんど)し、喜んでくれてもいたようです」と話す。ただ、試合そのものはまだ見ていないらしく、試合を撮影したビデオをアマンダさんが持ち帰り、「父のリアクションを見ながら一緒に楽しむことになっている」のだという。
さて、映画についてだが、アマンダさんが登場しているのは、のちのダース・ベイダーの幼少期アナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイドさん)がポッドレースに挑む場面。レースを観戦する犯罪組織の首領ジャバ・ザ・ハットの傍らに立っている。「公開は99年でしたが、撮影はもう少し前。確か、私が15歳から16歳にかけてのころだったはず。父からエキストラをやってみないかといわれ、ぜひやりたいと答えた」のが出演の経緯だという。「面白かったのは、頭をエンジ色にしたり、水玉模様を描かれたりとメークに5時間もかかったこと。あのときはグリーンスクリーンの前に立って、ただのぞくだけという演技でしたが、大変だったことを覚えています。でも楽しかった」という。
撮影当時のルーカス監督について、「朝起きて、現場に行き、撮影して、夕飯までに家に戻り、あとは寝るだけ。毎日がそんな調子で、全神経が映画に向いていました。監督業はもとより、製作や衣装、脚本のチェックなど、すべてをやらなければならないプレッシャーにさらされて、常に疲れていたという印象でした」と振り返る。
作りたい作品のために、信念を曲げず、妥協せずにやってきたルーカス監督。その血を受け継いであろうアマンダさんは、父との相違点について「父はものすごく自信を持っていて、いつも自分から走っていました。それに比べると、私にはシャイな部分があって、ダンスや自分の好きなこと、いまは格闘技ですが、それについては多少自信をつけつつあるし、自分の主張をするようになってきましたが、まだまだ学ぶことは多い」と話す。そして「格闘家としてはコーチのいうことは絶対。その点においては、父とはちょっと違うかもしれません」と結論づけた。
毎日忙しくしているというルーカス監督。だからこそオフのときは「ガールフレンドや家族と一緒にゆっくり、ゆったり過ごすのが好み」だそうだ。アマンダさんにとってルーカス監督は「とてもおとなしく、穏やかで、F1レースをテレビで見たり、あとは映画を見に行ったり、ショッピングモールに買い物に出掛けたり」と、いたって普通の父親だ。この取材に同席していた夫のジェイソンさんにとっても、“おしゅうとさん”は「とてもいい人」で、「彼も僕も歴史に興味があって、歴史上のことであれこれ議論するのが好きなんです」と教えてくれた。そんなルーカス監督に「愛しているわ。もうすぐ会えるから待っててね。(試合の)ビデオ一緒に見ましょう」とメッセージを送っていたアマンダさん。日本の「スター・ウォーズ」ファンに向けて「3Dになったことで一層素晴らしい作品になっていますし、とても楽しめる映像になっているので、ぜひ劇場で見てください」と呼びかけた。
<プロフィル>
1981年米カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。父は映画監督のジョージ・ルーカスさん。「スター・ウォーズ」シリーズの「エピソード1~3」にエキストラ出演している。08年ニュージーランドの格闘技大会で「パワーハウス」というリングネームでプロデビュー。日本で旗揚げされた総合格闘技大会「DEEP」に11年に参戦。12年2月に行われた「DEEP57」で堀田祐美子選手を破り女子無差別級初代王者に輝いた。これまでの戦績は5戦4勝1敗。そのほかにもブラジリアン柔術の世界選手権大会ムンジアルで準優勝の経験を持つ。
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