歌舞伎俳優の中村七之助さんが14日、東京・渋谷の劇場「Bunkamura シアターコクーン」で15日に初日を迎えるコクーン歌舞伎「天日坊(てんにちぼう)」の公演を前に取材に応じ、歌手の松田聖子さんが13日に発表した再々婚について「ちょっとショックでした」と肩を落とした。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
主演の中村勘九郎さん、共演者の中村獅童さん、演出家の串田和美さんと取材に応じた七之助さんは、兄の勘九郎さんから聖子さんの大ファンであることを暴露され、「夢は聖子さんのディナーショーに行くこと」と告白。「おめでとうございます。いつか(ディナーショーを)見に行きます」とほおをみるみる赤く染めてコメントしていた。
コクーン歌舞伎は、新演出の歌舞伎を上演するシアターコクーンの看板公演。94年5月に、歌舞伎の粋や感動を若者に伝えようと、当時の中村勘九郎さん(現・勘三郎さん)と串田さんが「東海道四谷怪談」を上演したのが始まりで、串田さんは96年の第2弾「夏祭浪花鑑」から演出を手がけている。いとうせいこうさんら歌舞伎界以外で活躍する俳優が出演したり、シンガー・ソングライターの椎名林檎さんらの音楽を使用したりと、従来の歌舞伎の型にはまらない斬新な演出で人気を得ている。
「天日坊」は、コクーン歌舞伎の第13弾。歌舞伎狂言作者の河竹黙阿弥(かわたけ・もくあみ)が江戸時代中期に起きた「天一坊事件」をモデルに描いた「五十三次天日坊」を基に、脚本家の宮藤官九郎さんが新たに書き下ろした。宮藤さんが歌舞伎を手がけるのは09年12月の新作歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」以来2回目。演出と美術は串田さんが担当する。黙阿弥の「五十三次天日坊」は1854年に初演され、1867年以降の上演記録がないため、145年ぶりの上演とされている。
コクーン歌舞伎初主演となる勘九郎さんは同作について「トランペットやパーカッション、エレキギター、ベースの音楽でかっこいいものになると思った。自信を持って提供できる」といい、稽古(けいこ)を見た父・勘三郎さんから「面白かった。みんなに見せたい」と太鼓判を押されたことを明かした。串田さんは「歴史的な作品になる。これが新たな始まり」と自信を見せた。
物語は鎌倉時代が舞台。孤児で、観音院という修行者の弟子として暮らしていた法策(勘九郎さん)は、ふとしたことから将軍・源頼朝の落胤(らくいん)・天日坊になりすまし、悪事を重ねながら鎌倉を目指す。その旅の途中で盗賊・地雷太郎(獅童さん)とその妻・お六(七之助さん)と出会い、自分の出生と運命を知って……という物語。トランペットを中心とした音楽を起用し、化け猫退治などの見せ場も多い。俳優で演出家の白井晃さん、劇団「大人計画」に所属する俳優の近藤公園さんも出演する。
上演はシアターコクーンで15日~7月7日。WOWOWで9月に放送予定。(毎日新聞デジタル)