アンジェラ・アキ:「ラブソングを作るアーティストでいたい!」 アルバム「BLUE」を語る

ニューアルバム「BLUE」について語ったアンジェラ・アキさん
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ニューアルバム「BLUE」について語ったアンジェラ・アキさん

 シンガー・ソングライターのアンジェラ・アキさんが、18日にニューアルバム「BLUE」をリリースした。今作は出産後初となる復帰第1弾アルバム。このアルバムの制作についてを中心に、母になった心境や曲作りにおける影響、音楽への新たな思いについてアンジェラさんに聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−出産して、家族が増えるってどんな気持ちですか?

 妊娠中もファンクラブツアーをやったりして、妊娠9カ月まで私が歌ってるのを(おなかの中で子供は)聴いてるから、私の声が分かるんですよね。他のCDだとならないんですけど、私のCDをかけるとフッと私のほうを見るんです。面白いというか、不思議だなって。だから、子供っていうよりもパートナーみたいな感覚なんです。

 −−出産前からずっとアルバムを制作していたんですか。

 実は産んでから作ったんですよ。出産後、退院して2週間後にはもうスタジオに入って。変な話、ここ2年間くらい制作的にすごく煮詰まってた部分があって、乾いたぞうきんから1滴を絞り出すような感じで、それが1曲じゃなくて曲の1行とか、そんな感じだったんです。でも今回、“さあ、作り始めよう”となった最初の日に、4曲くらいのアイデアがバーッて出てきて、何かせき止めてたものが流れ出てくるような経験をして。出産でそうなったのかは分からないんですけど、そういうタイミングだったのかなって。

 −−そんな中で生まれた本作には、さまざまなラブソングが収められていますね。

 出産をへて、そしてこのアルバムを通して、私のシンガー・ソングライターとしての本能の部分が再び目を覚ました感じがあるんですよ。それは「私はラブソングを作るアーティストでいたい!」という本能で、もちろん恋愛という側面のラブソングが多いんですけど、家族愛や友情、自分を愛するっていうラブソングだったり……。そういうラブソングを歌いたいっていう本能が点火して、その炎の中でメラメラ燃えながら作ってました。

 −−特に先行シングル「告白」は、“水晶体”や“大脳”などのワードが用いられていて、愛の告白の歌としてはすごく斬新ですね。

 “好き”っていう気持ちは、気持ちになる前に信号だなって思ったんです。“ビビッ”っていう信号が思いに変わって、その思いが言葉になって相手に伝わるまでの告白の旅というか。ちょっと医学な感じなんですけど、左脳から言葉が降りてきて、その言葉がなかなか言えないときって、舌の上で踊ってるようなイメージもあったりして、またノドの中に帰って……。でもそこから“今度は思いっきりいっちゃえ!”って言葉を飛ばしたとき、浮遊粒子の間を浮いてるっていう。

 −−この「告白」のように細部をフォーカスした楽曲から、人類愛のような壮大な愛を歌ったものまで幅広いですが、アルバムのタイトルを「BLUE」にした理由は?

 日本語の“青”って、ほかに“碧”“蒼”もあって、それだけグラデーションがある深い色なんだなって。同じ青でも、例えば英語の「BLUE」には“憂鬱”の意味も快晴の“青”もあって、同じ「BLUE」なんだけど正反対の意味を指すという。見方によって色の映り方も変わるというか、心の状態を反射してくれる色でもあるのかなって。だから、今回のようなラブソングのアルバムにはピッタリだと思ったんです。「LOVE」も表裏一体ですからね(笑い)。

 −−「告白」と「BLUE」のCDジャケットでは初のスカート姿を披露していて、「BLUE」では鮮やかなブルーのドレスを着て写っていますね。

 この写真、跳んでるんです。パンッて跳んでバシャッて撮るのを冗談抜きで100回はやりました。産後ダイエットだと思って挑みましたよ(笑い)。実はこういうドレスにコンバースって、プライベートではよくする格好なんです。もともとは、デニムで普通の感じでっていうのが好きだったから仕事でもそれでやってたんですけど、それだとオンとオフが同じになりすぎてダメだなと思って。それで逆にオフが女子的な感じになっていって、ミニスカートをはいたり。そうやって気持ちを切り替えていました。

 −−なるほど。さて、秋からは全国ツアーも始まりますが、子育てとの両立は大丈夫そうですか。

 週末にライブをして平日はお母さんに戻るっていう感じで、働くお母さんの仲間入りをしたイメージなんです。離れる時間があるからこそ、帰って来たときの身近な喜びや幸せがあたり前だと思わなくなるし、逆に当たり前じゃないって知ることができるのが幸せというか。

 −−今後、そんな環境が作品にも影響するかもしれませんか?

 次(のアルバム)が子供の歌ばかりだったら「そういう時期なんです」ってなるかもしれないですけどね。でも今、出産をへて、シンガー・ソングライターとしてこういうラブソングと向き合えるっていうことは、何があっても一生歌い続けられるのかな、私は歌ってるんだろうなっていう確信にもなりましたね。

<プロフィル>

 77年9月15日生まれ、徳島県出身。05年にシングル「HOME」でメジャーデビュー。初めてハマッたポップカルチャーは、80年代後半から90年代前半に流行した「トレンディードラマ」。「私は、とんでもない山奥の自然の中で育っていて、テレビのチャンネルが二つしか映らなかったんです。なので、そういうポップカルチャーに触れたのは、岡山に引っ越してからの中学時代で、私のポップカルチャーといえばトレンディードラマ。浅野温子・浅野ゆう子の“ダブル浅野"とか、「東京ラブストーリー」とか。中学生のくせにおませで、毎週見ていて。“もう(この先の展開は)どうなるんだろう”って、それで頭がいっぱいでした(笑い)」と話した。10月から全国ツアー「Concert Tour 2012-2013 BLUE」を開催予定。

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