和月伸宏さんのマンガ「るろうに剣心−明治剣客浪漫譚−」(集英社)の実写映画化(25日公開)でヒロインの神谷薫役を演じる武井咲さん。原作コミックはシリーズ累計で5700万部以上を売り上げた人気作で、テレビアニメも放送された。今作はかつては最強の暗殺者“人斬り抜刀斎”と恐れられ、明治維新後は緋村剣心と名を改め、日本中を流浪する主人公が、行く先々で、悪事を働く者たちを相手を殺すことなく成敗していく姿が描かれている。武井さんは薫役について「本当は寂しいんだけれどそれを隠して一生懸命頑張っている健気な女の子。剣心に思いを寄せていくんですが、そんな自分の気持ちの変化にも気づいていない」と語る武井さんに撮影の苦労や見どころなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
──「るろうに剣心」の出演オファーを受けたときの感想は?
時代ものに出演するのが初めてだったので、所作をマスターしなければと思いましたし、キャストのみなさんの顔ぶれがすごすぎるので、この中に入って演技するのかと思うと緊張が押し寄せてきました。あとは、原作マンガがすごく愛されている作品なので、その映画化、しかも大作に出させてもらうのはうれしかったです。
──原作は知っていましたか?
この作品に出演するにあたって、マンガとアニメを見させていただきました。
──台本や原作から読み取った神谷薫とはどういう女性ですか? 演じる上でどんなことに気を付けましたか?
マンガやアニメからはおもにビジュアル面を参考にしましたが、(内面的には)台本の中から薫のイメージをつかみました。まっすぐで、強くて、1人で道場を守っている、本当は寂しいんだけれどそれを隠して一生懸命頑張っているけなげな女の子。そこがいとおしくもありました。どんどん剣心に思いを寄せていくんですが、そんな自分の気持ちの変化にも気づいていないというか(笑い)。そういうところが可愛らしくて天真爛漫だなとも思いましたね。また、映画に出させてもらうのはこの作品で2本目なので、ドラマとは違う映画の世界に入ることができる、それが楽しみで仕方なかったです。
──神谷薫のどういうところに引かれますか? また、共感した部分はありますか?
1人で道場を掃除しているところだったり、お父さんへの思いだったり、薫は人に対する愛情を素直に表現できる女の子なんです。そのまっすぐさに引かれました。あんなにも「いい人はいい! 悪い人は悪い!」と言い切れる純粋さにも引かれました。私もよく人を見る(観察する)性格なので、そこは似ているというか、共感できましたね。
──薫は緋村剣心のどんなところに引かれていったと思いますか。
これというポイントがあったわけではないと思うんですが、剣心の芯の強さや変わろうとしているところが、チラチラとかいま見えたとき、そこに引かれていったんだと思います。単純に(見た目が)カッコいいとかそういうことだけではなくて、変わりたいと努力している姿に引かれてたんじゃないかなと。そこに愛が生まれて、いつの間にか気になる存在になっていったんだと思います。
──大友啓史監督からは事前にどんなアドバイスがあったのでしょうか。
「原作通りでなくていい」といわれていました。むしろチーム全体が「原作を超えてやろう!」という勢いがありました。なので原作をそのまままねるということはなかったですね。大友さんは、ちょっとした助言をくださる方で、その助言から私が感じたこと、気づけたことを表現するというスタイルでした。こうやってああやって動いてという細かい指示ではなく、「るろうに剣心」の世界の中で(私が)薫として生きたとしたらどう動くのか……それを「自由にやってみせてくれ」という監督でした。ある意味、試されている感じでもあります。そういう撮影方法だったので、つねに薫を感じながらお芝居をすることができ、楽しかったです。
──完成した作品を見て剣心の殺陣はいかがでしたか?
シーンとシーンがつながると勢いもありますし、迫力も増しますから、殺陣はほとんど本人がやっているのを実際に現場で見てきたので、こんなにもカッコよく殺陣ができるなんて、気持ちよさそうだな、気持ちいいんだろうなって思いました。この映画を見て、私も殺陣をやってみたくなりました(笑い)。機会があればやってみたいです。
──同じ女性として蒼井優さん演じる高荷恵のような女性をどう思いますか?
自分に持っていないものを持っている女性ですよね。薫の立場としては嫌な存在なんだけれど、それでも魅力的に見えてしまうというか……。女同士の嫉妬(しっと)というものを、薫は自然と恵に対して持ってしまうんです。そんな恵という新しい人種に出会ったことで、薫は剣心への思いに気づかされるんです(笑い)。恵の大人っぽさがうらやましくもありました。演じている蒼井さんはとってもいい人で、大好きな女優さん。この作品でご一緒させてもらえて本当にうれしかったです。
──これから映画を見る人へ、武井さんが思うこの映画の見どころを教えてください。
アクションシーンが一番の見どころだと思うんですが、その間と間にはさまってくる薫と弥彦のやりとりにも注目してもらえたらうれしいです。2人が作り出すゆっくりとした癒やしのような時間が流れているからこそ、アクションシーンがより迫力あるものとして映ると思うので。見応えたっぷりな作品です。ぜひ劇場で見てほしいです。
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