はじめの1巻:「orange」 10年後の自分から届いた手紙 女子高生の甘酸っぱい恋愛マンガ

高野苺さんのマンガ「orange」(集英社)1巻の表紙
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高野苺さんのマンガ「orange」(集英社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、別冊マーガレット(集英社)で連載、10年後の自分から届いた手紙にほんろうされる女子高生の恋愛を描いた高野苺さんのマンガ「orange(オレンジ)」です。

ウナギノボリ

 春、16歳の高宮菜穂の元へ、ある1通の封書が届く。差出人の名前は自分で「高校二年生の私、元気ですか? 私は10年後の未来から手紙を書いています」という書き出しだった。半信半疑で読み進めるが、手紙の内容は、その日の菜穂の寝ぼうや転入生のこと、菜穂とクラスメートとの行動までぴたりと言い当てていて……。

 ◇編集部からのメッセージ 別冊マーガレット編集部 小野淳平さん「青春の甘酸っぱさがSFで増幅」

 「orange」は、高野先生の前回連載である「夢みる太陽」(マーガレットコミックス全10巻)を描くよりも前に、先生自身が構想を温めていたものです。

 少女マンガ特有の青春や恋愛の甘酸っぱさ、切なさと、未来の自分から来た手紙というSF要素が絶妙に絡み合った作品になっています。さらに2巻以降では「過去を変えることで未来への影響は?」「そもそも未来と現在はつながっているのか?」などより深いSF要素にも触れていきます。ただそれで終わらないのが高野苺ワールド。SF面にさらに踏み込んだことで、青春の甘酸っぱさが、さらに増幅されていく仕掛けになっています。日頃から少女マンガに親しんでいる女性読者はもちろんですが、なじみのない男性読者にもぜひ読んでほしい!

 物語の舞台は長野県松本市。高野先生も松本市在住です。作中には地元の方なら「あーあそこね」と言いたくなるような場面はもちろん、思わずニヤッとするローカル番組も登場。別冊マーガレットでも一度特集したのですが、作中に出てくる場所を訪れてみてはいかがでしょう? いわゆる“聖地巡礼”で、一味違った松本観光が楽しめますよ。

 ◇書店員の推薦文 伊吉書院 類家店 中村深雪さん「菜穂が抱きしめたくなるほど可愛い」

 周りに気を使いすぎるあまり、手紙の指示のとおりに行動できず落ち込んだり、それでも行動しようと勇気をふりしぼる菜穂が抱きしめたくなるほど可愛いです。SFが軸になっている物語なので恋愛だけではない少女マンガを読みたい方にオススメ。ですが恋愛部分の描写もとても丁寧なので、恋愛マンガを読みたい方も大満足だと思います。第1話だけでも内容が濃くて、なんて続きが気になるマンガだろう!とドキドキすること必至! この1巻のラストもとても甘酸っぱく、もっと読みたい!という気持ちになりますよ!

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