話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、女子高生たちが自転車に乗って日常を楽しむさまを描いた松本規之さんのマンガ「南鎌倉高校女子自転車部」です。マンガ誌「月刊コミックブレイド」（マッグガーデン）編集部の垣下卓さんに作品の魅力を聞きました。

あなたにオススメ

来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹”　朝ドラヒロインまで手が届くか

　−−この作品の魅力は？

　「この作品の魅力は？」と聞かれると、それはもう「タイトル『南鎌倉高校女子自転車部』に全部込められてます！」とお答えするようにしています。タイトルにもありますように、本作は観光地としても非常に有名な「鎌倉」を舞台に、女の子たちが自転車に乗って日常を楽しむマンガです。「ロケーション豊かな鎌倉を楽しむ」「思春期の女の子たちの日常を楽しむ」そして何より、「自転車に乗ることの素晴らしさを楽しむ」の“三つの楽しい”を同時に味わえることが本作の魅力と言えるんじゃないかと思っています。もう本当、タイトル通りの内容ですね（笑い）。

　余談ですが、実は別のタイトル案もあったのですが、結局、同人誌版から変えずに今のタイトルのままでGOしました。同人誌版からのファンの方々もたくさんいらっしゃいますので、変えなくてよかったなと思っています。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　私が前の会社を辞めて今の会社に入社してきて、「さあ新しい作品を立ち上げるぞ！」というタイミングで出会ったのが、同人誌版の「南鎌倉高校女子自転車部」でした。元々自転車マンガが好きで、「でも自分が立ち上げるとしたら、今までにない方向性の自転車マンガが作りたい。ガチのレースではなくて、日常の中で自転車に乗る楽しさを表現したい。景色を見せたい。そして自転車に乗った女の子に萌えたい！」と思っていた矢先に、前述の同人誌に出会いまして、「これだ！」と思い、お声かけしました。

　そして、単行本のあとがきで松本先生が書かれていますが、その同人誌は元々持ち込み用に作られていたものでしたので、「ぜひ、『南鎌倉高校女子自転車部』をそのまま連載させてください！」とお願いして、連載会議用にネームなどを作ってもらいまして、無事に会議を通り、今の連載に至っています。なので、同人誌版から多少の変更はありますが、ほとんど設定やビジュアルなどは変わっていません。もし同人誌に出会っていなかったら……どうなっていたか分かりませんね（苦笑）。

　−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。

　そうですね……、大変だったというエピソードよりも、同人誌版の影響力の大きさにビックリするエピソードの方が多くて印象に残っています。連載開始前から別展開のオファーがいくつか来たのにはビックリしました（実を結ぶといいなと！）。

　そして、「南鎌倉高校女子自転車部」を読んでいただいた関西サイクルスポーツセンターさんからCMキャラクターのオファーが来たのはうれしかったですね。本作のキャラクターではないのですが、松本先生オリジナルキャラクターがアニメになって、CMで自転車に乗って走ってます。ポスターなども展開しております。関西サイクルスポーツセンターの公式サイトでそのアニメCMが見られますので、ぜひご覧になっていただければと！！

　あ、あとこれは個人的なことですが、鎌倉に松本先生とご一緒に取材に行った際に、ずっと使ってたケータイが壊れたことがショックで印象に残ってますね（本当に個人的ですみません……）。

　−−今後の展開、読者へ一言お願いします。

　7月に発売された単行本2巻でついに自転車部が結成され、舞春ひろみ、秋月巴、神倉冬音、比嘉夏海の4人の自転車部メンバーの新しい日常が今、始まろうとしています。ちょっとした競争だったり、自転車購入イベントなど、自転車部らしいイベントがこれからどんどん盛り込まれてきます。「さあ行こう！　最高の楽しいを見つけに！！」をモットーに、彼女らの“自転車だから味わえる最高の楽しい”を頑張って読者の皆様にご提供できればと思っておりますので、ご期待ください！！

　また、松本先生ご自身が、本作をモチーフにした3台の“痛チャリ”とサイクルウエアを作られております。痛チャリもウエアもかなり出来が良いです！　松本先生のサイン会など、イベント時には展示される可能性もありますので、もしご興味があられる方はイベントにぜひとも足をお運びいただければと。商品化をご希望の方はドシドシお声を寄せください！！

　最後に、アニメ化などの展開ができたらいいな～と思っておりますので、「南鎌倉高校女子自転車部」のメディアミックス化にご興味を持たれたメーカー様がいらっしゃいましたら、編集部までご一報ください！！　お待ちしておりますッ！！

　コミックブレイド編集部　垣下 卓